薬機法における考え方
サンプル配付となると真っ先に考えるルールといえば景品表示法ですが、何を配付するのかによって薬機法も関わってきます。
まずは薬機法における考え方を見ていきましょう。
下記は厚生労働省が発表している「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」を一部引用したものになります。
第4(基準)
11 懸賞、賞品等による広告の制限
(1)過剰な懸賞、賞品等射こう心を煽る方法による
医薬品等又は企業の広告を行ってはならない。
(2)懸賞、賞品として医薬品を授与する旨の広告を
行ってはならない。
ただし、家庭薬を見本に提供する程度であればこの限りではない。
(3)医薬品等の容器、被包等と引換えに医薬品を授与する旨
の広告を行ってはならない。<共通>
(1)懸賞、賞品等による広告について
景品類を提供して販売・広告することは、不当景品類及び不当表示防止
法(昭和 37 年法律第 134 号)の規定に反しない限り認められる。
なお、医薬品の過量消費又は乱用助長を促す広告を行うことは、
本基準第4の4「過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限」
に抵触するため不適当である。
(2)容器、被包等について
本項(3)の「医薬品等の容器、被包等」とは、医薬品、医薬部外品、
化粧品、医療機器、再生医療等製品すべての場合において、容器、被包そ
の他、引換券等を封入し、行う場合を含む。<医薬品>
(1)家庭薬の見本提供について
家庭薬を見本に提供することは認められる。
なお、家庭薬の範囲は、通常家庭において用いられる主として対症療法
剤、すなわち外用剤、頭痛薬、下痢止め、ビタミン含有保健薬等のいわゆ
る保健薬であって、次のもの以外の医薬品をいう。①毒薬、劇薬
②その他(家庭薬の通念から離れている医薬品)(2)医薬品を賞品等にする場合について
引用元:厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」
医薬品等の容器、被包等と引換えに医薬品を授与する旨の広告は、
医薬品の乱用を助長するおそれがあるため認められない。
このことから、“医薬品”の中の
・毒薬、劇薬
・家庭薬の通念から離れている医薬品
は不可(家庭薬であれば可)、且つ“医薬品”において「過量消費又は乱用助長」に繋がるものは不可ということが読み取れます。
薬機法における注意事項
サンプルとして毒薬、劇薬を配付するというのはモラル的にもまずありえないと思いますが、注意しなければならないのは「過量消費又は乱用助長」の部分です。
医薬品というのは基本、症状が出ている方が使用するものであり、且つ体質や症状によって、合うもの・合わないものが変わりますので、区別無く、広く配付をする行為は適切とはいえません。
「自分の症状に合うものを試したい」という方が自らの意志で申し込みをするような場合や、薬剤師の判断の元、個別にお渡しするような場合であれば乱用助長には繋がらないと考えられます。
他にも、過度に強調することなく、商品を販売しているWEBページに「サンプルをお届けできますので、お気軽にご相談ください」と添えている程度であれば、可能な範囲でしょう。
射こう心を煽るような、例えばお得感を出した派手な広告は、乱用助長と判断されるであろうと考えられますので注意が必要です。
(医薬品の発送につきましては、薬店の許可をとっているところから送付すること、サンプルを送付した記録等は必ずとっておくことが必要です。)
尚、化粧品や薬用化粧品(医薬部外品)、そして食品や雑貨等はここに含まれないことから、薬機法に抵触すること無く『サンプルプレゼント』が可能と判断できます。
つまり、サンプルプレゼントをする上で薬機法に注意しなければならないのは、「医薬品」になります。毒薬や劇薬をサンプルで提供する企業はないと思いますので、「過量消費又は乱用助長」に細心の注意を払いましょう。
景品表示法における考え方
「見本その他宣伝用の物品又はサービスであつて、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの 」については景品類に該当する場合であっても、景品(総付景品)の制限を受けないものとされています。
通常、一般消費者に対し「懸賞」によらずに提供される景品は『総付景品』等と呼ばれ景品類の限度額が設定されていますが、“見本品”であれば制限を受けないということを意味します。
“見本品”として商品そのものをサンプル配付しようとする場合には、ぜひこの考え方を思い出してください。
ただしこの場合、景品(総付景品)の制限を受けないようにするためには、
「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準について
3 告示第二項第二号の「見本その他宣伝用の物品又はサービス」について
(1) 見本等の内容、その提供の方法、その必要性の限度、関連業種における見本等の提供の実態等を勘案し、公正な競争秩序の観点から判断する。
引用元:消費者庁「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準について
(2) 自己の供給する商品又は役務について、その内容、特徴、風味、品質等を試食、試用等によって知らせ、購買を促すために提供する物品又はサービスで、適当な限度のものは、原則として、告示第二項第二号に当たる
(例 食品や日用品の小型の見本・試供品、食品売場の試食品、化粧品売場におけるメイクアップサービス、スポーツスクールの一日無料体験。商品又は役務そのものを提供する場合には、最小取引単位のものであって、試食、試用等のためのものである旨が明確に表示されていなければならない。)。
と記載されている通り、最小取引単位のものであって商品そのものに「サンプル」「試供品」といった印字がされている必要があります。
※そもそも配付するサンプルが200円を超えないものなのであれば、総付景品として配付可能です。最小取引単位のものであることは問わず、また「サンプル」「試供品」といった印字も不要です。
景品に該当するものであっても、最少取引単位で商品そのものに「サンプル」「試供品」というようにサンプルであることが分かる表示をしておけば、まず問題ないでしょう。
景品表示法における注意事項
以下は重要な注意点です。
同じサンプルプレゼントであっても『“ご購入者様”にもれなく差し上げます!』・・・というような企画の場合には、通常の景品(総付景品)の扱いになります。
“見本品”が景品規制の対象外とされているのは、対象者を特定しない、例えば路上でサンプルを配布するようなものを指しているためです。顧客に特定して提供する場合は、「顧客を誘引するための手段」と判断されることから、景品となる・・・という判断です。
従って、このような場合には(総付)景品として、取引価格をベースに考える必要があります。
取引価格が1,000円未満なのであれば、景品類の最高額は200円(市場価格且つ税込)です。1,000円以上の場合には取引価額の10分の2となります。例えば、『3,000円以上お買い上げの方にもれなくプレゼント』なのであれば600円までのものをお配りできます。
尚、このように顧客を対象にしていたとしても、“事前告知をせずに送る”のなら、基本的には景品規制の対象にはならないと判断されています。(消費者庁の中では、今後の取引の誘因とおっしゃる方もいるようですが、現状は概ね問題にはならないと言われています。今後、判断が変わる可能性が無いとは言い切れないため、その点は御容赦ください。)
この記事から学んでおきたい関連知識
商品ご購入者、店舗来店者、応募者、道行く人・・・様々な対象者にお配りする“サンプル”。身近で、且つ、貰えるとちょっと嬉しい存在です。
そんなサンプルですがルールがあるのをご存知でしょうか。今回はそんなサンプルのルールをまとめてみようと思います。
【トライアル可!】法令を遵守した訴求力の高い広告を作成する >