薬機法広告ラボ

ステマ広告による「チョコザップ」の措置命令から学ぶこと

先日8月9日に、ライザップ株式会社に対し景品表示法に基づく措置命令が発出されました。同社が運営するチョコザップ店舗にて提供する役務についての表示に「優良誤認表示」と「ステルスマーケティング表示」が認められたというものです。

今回はこちらの内容について解説します。

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ニュース詳細についてはこちらでまとめております

chocoZAPが「ステマ広告」で景表法違反 RIZAP株式会社に消費者庁が措置命令

サービスの表記が優良誤認表示となった

最初に「優良誤認表示」についてですが、チョコザップ店舗において提供されるサービスに関して、「追加料金なしで 全サービスも24時間使い放題!」等といった表示がなされていましたが、実際には特定のサービス(ホワイトニング等)については利用できる時間に制限があったとのことです。

このため、消費者に対してサービスの利用条件が実際よりも優れていると誤解させる表示を行っていたと認定されました。当件については、特に珍しい事例というものではありません。

自社サイトにSNSの投稿を入れたことがステマの原因に

一方、「ステルスマーケティング表示」については、その指摘に驚かれた方も多かったのではないでしょうか。

チョコザップに関する表示をインフルエンサーに依頼し、対価を提供することでInstagramなどのSNSに投稿(宣伝)をさせており、その内容を自社からの依頼であることを明示せず、あたかも一般の利用者からの自然な口コミ(体験談)であるかのように自社が運営するウェブサイト(LP)に掲載していたというもので、これがステルスマーケティングにあたると判断されました。

措置命令についての資料を見ると元々のSNSの投稿には「chocozap officialとのタイアップ投稿」と明記されているということが確認できます。ですので、少なくとも『インフルエンサーに依頼し対価を提供することで、 InstagramなどのSNSに投稿(宣伝)をさせた』については問題無いと判断することは可能です。

その後、そのSNSへの投稿内容を自社サイトに入れ込んだことでそれがステルスマーケティングだと判断されたということですが、この点を掘り下げてみましょう。

具体的にどのような点が問題だったのか

ステマの運用基準※において、事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない・・・という考えから事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である又は社会通念上明らかであるものは、告示の対象となるものではないとし、『事業者自身のウェブサイト(期間限定のものも含む)における表示を行う場合』はステマ規制の対象にならないとしています。

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準

ですのでここだけを見ると、自社のウェブサイトだとわかる場所(LPを含む)においては体験談等を掲載してもそこにわざわざ「PR」等の表示をする必要は無い・・・と読むことができます。

しかし運用基準を読み進めると

(ア)ただし、事業者自身のウェブサイトであっても、ウェブサイトを構成する特定のページにおいて当該事業者の表示ではないと一般消費者に誤認されるおそれがあるような場合(例えば、媒体上で、専門家や一般消費者等の第三者の客観的な意見として表示をしているように見えるものの、実際には、事業者が当該第三者に依頼・指示をして特定の内容の表示をさせた場合や、そもそも事業者が作成し、第三者に何らの依頼すらしていない場合)には、第三者の表示は、当該事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならない。

(イ) 事業者が第三者に依頼・指示をしてある内容の表示をさせた場合における当該事業者の表示である旨の表示としては、例えば、「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」といった表示をすることが考えられる。

引用元:消費者庁

との記載がありますので、今回の場合は“事業者自身のウェブサイトだから問題無い”のではなく、しっかりと「PR」であることがわかる表記をすべきだったということになります。

Instagram等の第三者の投稿を自社サイトに掲載する場合でも、ステマ規制の対象となる場合があるので、この点は注意しておきましょう。

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消費者庁へヒアリングをした結果

弊社のスタッフが当件について消費者庁へヒアリングしたところ

事業者の依頼により書かれたSNS投稿(事業者の表示に当たる投稿)を自社広告内に抜粋する際には、それが広告であると分かる表示が必要になるということなので、自社広告内であっても、当該SNS投稿に「PR」などと表示して、消費者が事業者の広告であることが読み取れるようにしなければならない

ただ、広告に掲載される体験談全てに「PR」を書けということではなく、一般消費者が純粋に自由意志で投稿したものを自社広告に抜粋するのならば、PR表記はなくてよい

という事でした。

今回指摘されたLPを見るとインフルエンサーから寄せられた“対価提供の基の体験談”を「話題沸騰中」「SNSでも話題!絶賛の口コミ続々」といった見出しと共に掲載したというのも誤解を招くと判断された一因なのではないかとも考えます。

Instagram等から引用してくる際に、枠や表示等を丸ごと転用する形※を取っていれば「PR」「タイアップ」「商品のご提供をいただきました」等表示がそのまま含まれてきますので問題無かったのかもしれません。

※今回のケースのように、 もともとのSNS投稿がステマにならないよう正しく運用されていることを前提としています。また、このあたりはインフルエンサーとの契約や著作権が絡む可能性がありますので、適宜ご判断ください。尚、広告ですので諸ルールを遵守した内容である必要があります。

正直、まわりからも『厳しすぎるのでは』という声が聞こえています。消費者庁の本当の意図はわかりませんが、「有名企業による有名なサービスにおいて良くあるパターンの表示をステマ認定することでのインパクトを狙い、不適切事例を措置命令として大きく公開することで世の中の表記に大きなメスを入れたかった・・・ということかもしれません。

引き続き、ステルスマーケティングにならないように気を付けていきましょう。

このニュースから学んでおきたい知識

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