「税抜価格」で措置命令
早速本題に入りますが、7月30日付で、居酒屋「新時代」など飲食店を日本全国に120店舗以上展開する飲食チェーン株式会社ファッズに対し、消費者庁が景品表示法で措置命令を出しました。
今回の措置命令については「店舗における料理及び飲料を供給する役務に係る表示」になっており、一見、健康食品や化粧品の広告とは無関係のように見えます。ですが、詳細を見ますと、意外な事実がありました。
飲食店ポータルサイト内に開設された自社ホームページや、SNSアカウントにおいて、「生ビール190円ハイボール150円」との記載のある画像を表示することにより、あたかも、価格が税込価格であるかのように表示している又は表示していた。
本件の措置命令は、「消費税を含まない価格であって、税込価格ではなかった」点が、有利誤認に該当すると認められたということになります。2021年4月1日から、事業者が消費者に対して行う価格表示については、税込価格の表示(総額表示)が義務付けられています。(※事業者間での取引は非対象)
例えば、次にあげるような表示が「総額表示」に該当します。
- 10,780円
- 10,780円(税込)
- 10,780円(うち税980円)
- 10,780円(税抜価格9,800円)
- 9,800円(税込10,780円)
税込価格が明瞭に表示されていれば、消費税額や税抜価格を併せて表示することも可能です。ただ、「税抜価格」を本書きとする表示方法、上の例だと「9,800円(税込10,780円)」の場合、注意が必要です。
財務省の「総額表示に関する主な質問」にて、以下の記載があります。
「税抜価格」を本書きとする表示方法の場合、他の表示方法に比べて文字の大きさや色合いなどを変えることにより「税抜価格」をことさら強調することで、消費者に誤認を与えたり、トラブルを招くような表示となる可能性も懸念されます。
引用元:財務省 総額表示に関する主な質問 Q8
このような表示がされた場合には、総額表示の観点から問題9,800が生じうることはもとより、そうした表示によって、『9,800円』が「税込価格」であると消費者が
誤認するようなことがあれば、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」
の問題が生ずるおそれもあります。
完全義務化からすでに3年が経っていますので、おおよそどちらの事業者も広告、ECサイト等での価格表示については対応済みであると思われます。
ですが、万が一、例えば過去の広告でレスポンスの高かったものを再度使用する、といった場合に、過去の税抜き価格のままで広告を出してしまったといった場合に、過去の税抜価格のままで広告を出してしまった…なんてことや、間違って税抜価格のみを記載し、結果として税込価格であるかのように見える表示になってしまった…といった、単純なミスが起こらないとは限りません。
商品を販売するにあたり、価格を記載するのは不可欠です。「支払総額を一目で分かるようにすることにより、消費者の利便を向上させる」ことを念頭に、今一度自社の広告における価格表示を見直してみてはいかがでしょうか。
参考元:消費者庁「株式会社ファッズに対する景品表示法に基づく措置命令について」
このニュースから学んでおきたい知識
こんにちは。薬事法広告研究所です。
連日、焼けるような暑さが続いています。今年は蒸し蒸しするというより、肌をさすような強い日差しと暑さを感じます。一歩外に出ると、これは危険…と身構えるほど。
残念なことに、今年の暑さは長引くと言われています。水分・ミネラル補給を欠かさず、電気代が気になるところですがクーラーを活用し、「いのちだいじに」この夏を乗り切りましょう。