薬機法・景表法ニュース

食品表示における適正な運営への課題と今後の注意点【2024年11月11日】

「令和5年度特別用途食品(特定保健用食品を除く。)に係る栄養成分等、特定保健用食品に係る関与成分及び機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業(買上調査)」の調査結果について

令和5年度の本事業の実施結果と対応について以下のとおり公表します。なお、今回の実施結果も含め、食品表示法第6条の規定に基づく指示を行う事案と判断されたものは、適正な表示に是正する旨の指示を行い、同法第7条の規定に基づき、商品名を含む指示内容を公表する等により、食品表示制度の適正な運営を図ってまいります。

1.分析試験の結果

調査対象 101 商品について関与成分等の分析試験を実施した結果、許可等申請又
は届出の際に提出された資料(以下「申請等資料」という。)の記載どおりであるこ
とが確認された中で、機能性表示食品2商品について、申請等資料に記載された含
有量を下回る結果となった。

2.申請等資料の記載と異なる事案の概要

① 事案1:
製造時、原材料中に機能性関与成分は十分含有されていたが、喫食時の状態では機能性関与成分の量が申請等資料に記載された含有量を下回っていた分析結果となったことが判明した。なお、当該届出者は当該ロットを含め当該商品の販売を中止し、届出を撤回した。

② 事案2:
機能性関与成分の量の分析結果が申請等資料に記載された含有量を下回った分析結果であったが、その後に届出者が分析機関に依頼して同一ロット品を分析したところ、申請等資料に記載された含有量を上回る結果であった。なお、当該届出者は当該ロットを含め当該商品の販売を中止し、届出を撤回した。

引用元:消費者庁

2022年度(令和4年度)に行われた「特別用途食品(特定保健用食品を除く)に係る栄養成分等、特定保健用食品に係る関与成分及び機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業(買上調査)」では、食品表示制度の適正な運営と消費者の信頼性の確保が改めて注目されました。

特に、食品の機能性表示については、消費者が期待する健康効果に直結する要素であり、正確な表示が求められます。

この調査結果に基づき、食品業界に求められる品質管理や成分分析方法の見直しについて、今後の課題とともに解説します。本記事では、実際に検出された問題点をもとに、事業者が今後どのような点に注意して運営していくべきかを考察します。

【リピーター多数!】広告表現に関する悩みを解決する >

検証事業の調査結果概要

今回の検証事業では、特別用途食品や特定保健用食品、機能性表示食品など、合計119品が対象となり、これらの食品に含まれる関与成分の量が、申請資料や届出内容に沿ったものであるかどうかが検証されました。その結果、ほとんどの食品が申請資料の内容通りであることが確認されました。

具体的には、特別用途食品および特定保健用食品はすべて申請通りであり、機能性表示食品についても98.1%が申請通りの成分量を満たしていることが明らかになりました。しかし、機能性表示食品のうち2品については、関与成分の含有量が申請資料での数値を下回るという結果が報告されています。この2品の不備は、事業者が記載した内容に対して成分量の誤差が生じたケースとして注目すべき事例です。

申請資料と異なる事例の詳細と原因

今回の検証で、機能性表示食品のうち2品について、申請時に記載された関与成分の量が実際の成分量を下回る結果となりました。それぞれの原因と対応について、以下のように報告されています。

事例1:分析方法の不備

1つ目の事例では、申請時に使用された分析方法に不備があったことが原因と判明しました。申請資料での分析方法では、含まれる機能性関与成分の正確な測定が難しかったため、当初の申請内容を下回る数値が出てしまいました。その後、事業者による分析方法の見直しが行われ、新しい方法で再測定した結果、機能性関与成分の含有量が申請通りであることが確認されました。

これを受けて、当該事業者は改訂後の分析方法で申請内容を再提出し、正式に変更届を行いました。この事例は、申請時の分析方法の適正性が成分の信頼性に直結することを示しており、今後の品質管理において重要な教訓となります。

事例2:成分減衰を見越した管理不足

2つ目の事例では、機能性関与成分を含む原材料が十分に配合されていたものの、成分が劣化する可能性を考慮した品質管理が不十分であったために、実際の数値が申請内容を下回ってしまいました。このケースでは、賞味期限内の成分量を担保できなかったことが原因です。この事例を受けて、当該事業者は製品の販売を中止し、届出を撤回する決断を下しました。

このように、品質管理体制の不備が成分量の誤差に繋がったことは、今後の食品表示の適正な運営において見直すべき課題を示しています。

事業者が今後気を付けるべきポイント

今回の検証事業で浮き彫りになった課題を踏まえ、事業者が今後取り組むべき注意点を整理しました。食品表示制度の信頼性を守るためには、以下のポイントに注力することが求められます。

①分析方法の適切な選定

機能性表示食品では、含有成分が科学的根拠に基づいていることが強調されます。したがって、分析方法の選定と精度の確保が重要です。申請時に使用する分析方法が成分量の正確な測定に適していなければ、実際の製品が届出内容を満たさないリスクが生じます。事業者は、申請前に分析方法の信頼性を十分に確認し、場合によっては見直しを行うことが推奨されます。

②品質管理体制の強化

食品の成分は、製造から販売までの過程で劣化する可能性があります。とりわけ、機能性関与成分は時間の経過とともに減衰するケースがあるため、成分劣化を見越した品質管理が必要です。例えば、成分の劣化を防ぐための保存方法を工夫したり、賞味期限内に成分量を保つための配合比率を調整したりするなど、製品の保管や品質管理の強化が求められます。

③消費者との信頼構築

消費者が期待する効果を得られなかった場合、食品に対する信頼が大きく損なわれる可能性があります。消費者の信頼を守るためには、製品表示の透明性を確保することが重要です。仮に不備があった場合は、迅速な販売中止やリコール対応を行い、信頼回復に努めることが求められます。消費者の視点に立った誠実な対応が、長期的な信頼構築に繋がります。

まとめ

今回の検証事業で明らかになった結果から、食品業界において正確な食品表示と適切な品質管理が求められる理由が改めて浮き彫りになりました。消費者は、食品表示に記載された成分量や効果を信頼して商品を選びます。そのため、表示内容と実際の成分量の整合性を維持することは、消費者の信頼を守るための基本です。

事業者は、申請時の分析方法の信頼性確認や、成分の劣化を見越した品質管理に十分配慮することで、適正な表示と製品の品質を保つ必要があります。また、万が一、表示内容に不備が発見された場合には、速やかな是正対応や製品リコールなど、消費者に対する誠実な姿勢が信頼構築には欠かせません。

これからも、食品業界全体が品質向上に努め、信頼できる食品表示制度の運営に貢献していくことが期待されます。消費者が安心して商品を選べる環境を作るために、業界全体での意識の向上が今後も重要です。

この記事から学んでおきたい関連知識

広告表現でお困りの方へ

「広告審査が通らない」「制作前に文言チェックをしておきたい」「この表現が使えるか相談したい」など、お困りのことがありましたらお気軽にお問い合せください。簡単な薬機チェックから、本格的なサービス構築まで幅広く対応致します。
サービスのお試しプランもご用意しておりますので、まずは弊社のサービスについてご一読ください。

まずはお試しから
オンライン相談可 最適プランご案内 初回無料相談 オンライン相談可 最適プランご案内 初回無料相談