薬機法・景表法ニュース

大正製薬株式会社が「ステマ広告」で景表法違反 消費者庁が措置命令を発出【2024年11月14日】

大正製薬サプリでステマ認定、インフルエンサー3人に宣伝依頼…消費者庁が措置命令

 個人の感想を装って商品を宣伝するステルスマーケティング(ステマ)を行ったとして、消費者庁は13日、製薬大手「大正製薬」(東京都豊島区)に景品表示法違反で再発防止を求める措置命令を出した。昨年10月の規制開始以降、健康食品を巡るステマの認定は初めて。

 発表によると、大正製薬は今年4~5月、アンチエイジング効果をうたうサプリメント「NMNtaisho」について、インフルエンサー3人にインスタグラムでの宣伝を依頼。その投稿を自社のオンラインショップに転載した際、「広告」や「PR」などサプリの宣伝と判断できる記載をせず、閲覧者に第三者の感想と誤認させる表示をした。

 3人のフォロワーは、それぞれ1~3万人ほど。投稿に対する報酬は、サプリ1箱と、現金1万円前後だった。インスタへの投稿には「PR」の記載があり、問題はなかったという。

 このサプリは、老化を抑制するとして近年人気を集めるNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)を配合。昨年3月の販売開始から、今年4月までに約1万5000箱を売り上げ、販売総額は約4億円に上る。

引用元:読売新聞オンライン

消費者庁は2024年11月13日、製薬大手の「大正製薬株式会社」に対して、景品表示法違反で再発防止を求める措置命令を出しました。この措置命令の背景には、大正製薬が健康サプリメント「NMNtaisho」の販売促進のために行った、いわゆる「ステルスマーケティング(ステマ)」と判断される広告手法がありました。

ステルスマーケティングとは、広告であることを隠し、第三者の自然な意見であるかのように見せかける宣伝方法です。インターネット上のマーケティングが増える中で、消費者に広告と気づかれにくい手法として広まりましたが、消費者が誤解を招きやすく、社会的な影響が大きいため、近年では規制が強化されています。

2023年10月に日本で健康食品の広告規制が強化されて以降、今回の大正製薬に対する措置命令は、健康食品業界での初のステマ認定となります。この一件は、サプリメントなどの健康食品を扱う企業が、消費者との信頼関係を保つ上でどのような姿勢が求められるのかを改めて示唆する事例といえるでしょう。

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今回の措置命令に至った問題点

今回、消費者庁が大正製薬に措置命令を出すに至った主な理由は、「NMNtaisho」というサプリメントを宣伝するにあたり、インフルエンサーの個人的な感想を装うステルスマーケティング(ステマ)を行ったと判断されたことです。このステマ行為には、以下の具体的な問題が含まれていました。

インフルエンサー投稿の自社サイトへの転載と「広告」表示の欠如

大正製薬は、インスタグラム上で影響力を持つインフルエンサー3人に対し、NMNtaishoの宣伝投稿を依頼しました。これ自体は一般的なマーケティング手法であり、インフルエンサーの投稿には「PR」との明示がされていたため、この部分は法的には問題がなかったとされています。しかし、これらの投稿を自社オンラインショップに転載した際、広告であることを示す「PR」や「広告」の表記がされていなかった点が問題視されました。

このため、消費者は「NMNtaisho」というサプリメントに対する第三者の意見として捉え、効果や安全性について客観的な口コミや評価と誤認しやすい状況でした。特に健康食品のように効果を期待しやすい製品の場合、広告であることが明示されていないと、消費者に誤解を与える可能性が高く、消費者保護の観点から厳しく見られるのです。

以上が今回の措置命令に至った主な問題点です。このような事例は、消費者と企業の間に信頼関係を築くための透明性が欠かせないことを改めて浮き彫りにしています。

健康食品・サプリメント業界におけるステマの影響

健康食品やサプリメントは、人々の健康や美容に直接的な影響を与えるため、消費者にとって信頼できる情報が欠かせません。しかし、インフルエンサーによる「ステルスマーケティング」が行われると、消費者がその製品に対する誤解を抱き、期待外れやトラブルにつながる可能性があります。

今回の大正製薬のケースからも、健康食品業界におけるステマの影響がいかに大きいかが改めて浮き彫りになりました。

ステマによる信頼の損失

健康食品業界は消費者の「健康への期待」に基づく市場であるため、広告の透明性と信頼性が極めて重要です。広告と気づかれない形での情報発信が行われると、消費者はその製品の効果や品質に対して正当な判断ができなくなります。

特に、インフルエンサーを信頼しているフォロワーが「中立な意見」として受け取ってしまう場合、ステマによる消費者の信頼損失は企業のブランドイメージに致命的な影響を与えかねません。

健康へのリスクと消費者の不安

ステマの影響で特定のサプリメントが実際以上の効果を持つかのように受け取られると、消費者がそれを信じて購入し、期待した効果が得られないことも多くなります。

特に、健康に直結する商品に対する不正確な期待は、消費者の健康リスクを高めるだけでなく、「自分に適した商品が選べなかった」という不安や失望感を生じさせます。こうした問題が続くと、健康食品業界全体への信頼にも悪影響を及ぼすでしょう。

今後事業者が気を付けるべき点

今回の措置命令を受け、健康食品業界の事業者は、消費者との信頼関係を守るため、広告活動においてさらなる注意が必要です。特にインフルエンサーを活用したマーケティングに関しては、透明性を保つことが欠かせません。

以下に、今後事業者が気を付けるべきポイントをまとめます。

インフルエンサーを活用したマーケティングにおける「広告」表記の徹底

まず、インフルエンサーを起用した広告投稿については、必ず「PR」「広告」などの表記を徹底する必要があります。インスタグラムやブログなど、消費者がインフルエンサーの意見を信用しやすい媒体では、広告表記をはっきりさせることで誤解を防ぎ、消費者が適切な判断を行えるようにすることが求められます。

また、インフルエンサーの投稿を自社サイトや他の媒体に転載する場合にも、転載先での広告表記の有無を確認し、消費者に対して広告と分かる形での表示が必須です。

広告表示に関するガイドラインとコンプライアンスの強化

広告表示の適切さを確保するため、社内でのガイドラインや研修を強化し、広告表示の適正さを維持する体制が必要です。特に、消費者庁が定める景品表示法や広告に関するガイドラインを意識し、スタッフが理解しやすい形でのガイドラインの整備と定期的なコンプライアンス研修の実施が効果的です。

これにより、広告表示が一貫して公正であることを徹底し、消費者に安心して利用してもらえる環境を整えましょう。

消費者視点での誠実な広告表示

最後に、企業は広告表示の透明性を守るために、常に消費者視点での誠実な広告表現を心掛けるべきです。健康食品は消費者の期待が大きい分、広告表示に過度な表現を用いることなく、実際の効果を正確に伝える姿勢が重要です。

また、疑問や問い合わせに対しても迅速で明確な対応が求められ、顧客サポートやFAQの充実も信頼を維持する上で大切です。

まとめ

今回の大正製薬に対する消費者庁の措置命令は、健康食品業界における広告の透明性消費者保護の重要性を改めて浮き彫りにする事例となりました。インフルエンサーを活用したマーケティングは消費者に効果的に商品をアピールできる手段ですが、広告であることを隠す「ステルスマーケティング(ステマ)」は、誤解や不信感を招くリスクが大きく、景品表示法による厳しい規制の対象にもなります。

健康食品やサプリメントといった製品は、消費者の健康や生活に直接的な影響を与えるため、企業は常に誠実な広告表示を心掛け、消費者にとって信頼できる情報を提供することが求められます。透明性のある広告表示とガイドラインの整備、そして消費者の視点に立った対応を徹底することで、消費者の信頼を築き、ブランドの健全な成長につなげることができるでしょう。

今後、健康食品業界において消費者との信頼関係を維持するためにも、法令順守消費者保護の意識を高め、透明性を重視した広告活動を行うことが不可欠です。企業の誠実な姿勢こそが、長期的なブランド価値の向上に寄与するといえるでしょう。

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