首からぶら下げ「空間除菌」、根拠なし…景品表示表違反で1651万円の課徴金納付命令
「首にかけるだけでウイルス除去」などと宣伝した空間除菌用品の広告表示に根拠がなかったとして、消費者庁は30日、雑貨製造販売「東亜産業」(東京)に対し、景品表示法違反(優良誤認)で1651万円の課徴金納付命令を出した。
発表によると、同社は2020年2月、首からぶら下げる携帯型の空間除菌用品「ウイルスシャットアウト」をインターネット上で販売する際、「半径1mの空間除菌」などとうたい、着用すれば身の回りの空間で除菌効果が得られるかのような表示をしていた。
同庁が提出された資料を調べたが、合理的な根拠を示すものではなかったという。同社の担当者は取材に「確認中」とだけ答えた。
参照元:読売新聞オンライン(2025年1月30日より)
どこに問題があったのか
この件に関して、主な問題点は以下の2つです。
- 科学的根拠がないにもかかわらず、効果を宣伝した点
「空間除菌」や「ウイルス除去」を謳うには、効果を証明する十分な科学的データが必要です。しかし、消費者庁の調査では、そのような根拠は確認できませんでした。 - 消費者の誤認を招く広告表現(優良誤認)
「着用すれば身の回りの空間が除菌される」という表現は、消費者に過剰な期待を抱かせる恐れがあります。実際に効果がなかった場合、消費者が誤った安心感を抱いてしまう可能性があります。※根拠がない場合
事業者が今後注意すべきポイント
この問題を踏まえ、事業者は以下の点に注意する必要があります。
- 科学的なエビデンスをしっかりと用意する
商品の効果を訴求する際は、信頼できる第三者機関の試験結果や論文などを用意し、それを裏付けとして示せるようにしましょう。 - 曖昧な表現や誇大広告を避ける
「ウイルスを99%除去」「空間除菌」などの表現を使用する場合、その根拠となるデータや試験方法を明確に示すことが重要です。誤解を招くような表現は、消費者庁からの指摘を受けるリスクがあります。 - 景品表示法を正しく理解し、コンプライアンスを強化する
販売戦略を立てる際には、法務担当や専門家と相談しながら広告表現を決めることが望ましいです。企業内部でのコンプライアンス教育を徹底し、違反リスクを未然に防ぎましょう。
※エビデンスがあったとしても、「治療若しくは予防に使用するもの、体の構造や機能に影響を及ぼすもの」は医療機器に該当し、雑貨の場合薬機法に抵触することになります。特に、特定菌への訴求、菌の不活性化への訴求は医療機器の範囲となり、雑貨では標ぼうができませんので注意が必要です。
まとめ
今回の「空間除菌」商品の問題は、科学的根拠のない広告表現が消費者の誤解を招くことの危険性を示しています。
企業が信頼を維持しながら商品を販売するためには、適切な根拠を持ち、景品表示法を遵守することが不可欠です。今後も消費者庁の監視が強化される可能性があるため、正確で誤解のない広告表現を徹底することが求められます。
このニュースから学んでおきたい知識
消費者庁は2025年1月30日、雑貨製造販売会社「東亜産業」に対し、景品表示法違反(優良誤認)で1,651万円の課徴金納付命令を出しました。
問題となったのは、2020年2月に販売された「ウイルスシャットアウト」という首から下げるタイプの空間除菌用品です。同社は「半径1mの空間除菌が可能」などと宣伝していましたが、消費者庁が提出資料を調査したところ、合理的な根拠を示す証拠がなかったと判断しました。
この問題を受け、事業者は今後どのような点に注意すべきなのでしょうか。以下で詳しく解説します。
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