いま求められる健康食品の安全性
昨今の紅麹製品に対する問題を通じて、サプリメントの安全面が注目されています。
機能性表示食品の製造や品質においては、製造施設や従業員の衛生管理、規格外製品の出荷防止、および機能性関与成分の分析方法などの体制を整えることとなっています。
一方、健康食品の場合、多くの人々が健康維持や栄養補給を目的に利用されていますが、成分の選択、品質、安全性の確保はすべて事業者に任されています。そのため、輸入した成分のなかに偶然、医薬品成分が含まれていて、思いもよらない摘発を受けることもあります。医薬品成分は効果が得られる反面、副作用もあるため、摂取量によっては健康被害を及ぼす危険性もはらんでいます。
また、適切な管理がなされていなければ、製造している間に成分量にばらつきが出たり、不純物が混入するケースもないとはいいきれません。
これを防ぐには、製品の製造過程や管理に厳格な基準を設けることが重要といえます。また、製品の販売前に適切な検査や試験を行い、安全性を確認する体制を整えることも必要でしょう。
食品の品質や安全性の規格基準としてHACCPやISOが有名ですが、ほかにも一定の品質を保ち製造されるための製造工程管理基準としてGMP(適正製造規範)が定められています。現状この基準を採用するかは事業者に任されているため、必ずしもすべての製品がGMPに基づいて製造されている訳ではありません。
ただGMPに基づいて製造された製品はGMPマークがつけられているので、製品の選択時に参考にすることができます。
今回の紅麹問題によって、残念ながらサプリメントに対する不信感は大きくなってしまいましたが、今後、消費者の信頼を回復するためにも、より一層、安全性への取り組みが重要になるといえるでしょう。
今回の事態を受けて、消費者庁が安全性に対するヒアリング調査をすすめています。また、機能性表示食品の今後のあり方についての検討会も開催されますので、今後の制度の行方に注目する必要があります。