措置命令内容から読み解く『サイトのイメージ調査を根拠としたナンバーワン表示』の問題点
この3月に入ってから措置命令となったナンバーワン表示は、すべて『サイトのイメージ調査』を根拠としたナンバーワン表示でした。ちなみに、昨年も同様の調査方法でのナンバーワン表示に措置命令が出ています。
そして、該当の措置命令には、いずれも同じ指摘がされています。共通する重要なポイントを一部抜粋したものが以下です。(具体的な社名や数等は編集しています)
この中で重要なポイントは大きく次の2点です。
(1)同種役務について実際に利用したことがある者か又は知見等を有する者かを確認していない
(2)各事業者のウェブサイトの印象を問うものであり、それぞれ客観的な調査に基づくものではない
では、そもそも「サイトのイメージ調査」とは、どのような調査なのでしょうか?
サイトのイメージ調査とは、ホームページやLP(ランディングページ)等のサイトを見せて、
「使ってみたい商品はどれか」
「友達に進めたい商品はどれか」
「効果が高そうな商品はどれか」
などといった設問に回答させることにより、商品の評価を行う調査方法を指します。
あくまでも各社のサイトを見せただけであるため、書かれている商品情報の量もまちまちでしょうし、キャッチコピーの秀逸さ、サイトの構成、写真の選定、サイトの色合い、デザイン等から受ける印象や好みにより、評価結果が左右されてしまいます。
つまり、(2)にあるように、サイトのイメージ調査は、商品を評価した調査ではなく、サイトの印象を評価したにすぎず、その調査結果をもとに、商品に対して「満足度No.1」や「クチコミNo.1」などと標榜する事は、客観的調査に基づく表示とは言えず、不当表示にあたると判断されているのです。
これは、調査方法自体が不適切ということであり、「実際に商品を使用した上での調査ではない」ということが明瞭に示されていたとしても言い訳にはならず、また、これだけ相次いで措置命令が出ていることから、消費者庁がかなり問題視していることが読み取れます。
ではどの様に対策するのが良いのでしょうか?
(1)にあるように、措置命令の中に
「実際に利用したことがある者か又は知見等を有する者かを確認することなく」と記載されている為、調査対象者が「比較する商品を実際に利用したことがある」もしくは「比較する商品に対し、知見等を有している」のいずれかに当てはまる必要があります。
実際にすべての商品を使っていただいた上で調査をするのが最も安全と思われますが、比較にあたり適切と言えるだけの商品やサービスの情報(商品スペック等)を、良い点も悪い点も含めて公平に提供し調査をするということでも、やりようはありそうです。
現在も、サイトのイメージ調査を基にしたナンバーワン表示は多く使われていますが、これだけ措置命令が相次いでいることを鑑みれば、そろそろ見直しせざるを得ない時が来たのではないでしょうか。
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該当の表示について、○○会社が委託した事業者による調査は、回答者に対し、○○会社が販売する本件商品及び他の事業者が販売する同種商品並びに○○会社が提供する本件役務及び他の事業者が提供する同種役務について実際に利用したことがある者か又は知見等を有する者かを確認することなく、○○会社及び特定の事業者(当該委託を受けた事業者が、同種商品を販売し、同種役務を提供する事業者の中から指定する事業者をいう。)のみを任意に選択して対比し、各事業者のウェブサイトの印象を問うものであり、それぞれ客観的な調査に基づくものではなかった。