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【言い換え表現付き!】「No.1」等の最上級表現を広告で使う際のルール

景品表示法は、広告や表示における消費者保護を目的とした法律であり、特に「No.1」や「最上級」の表現を使用する際には特に注意が必要です。

これらの表現は消費者に強い影響を与えるため、誤解を招くことのないよう正確に根拠を示す必要があります。特に競合との比較や実績を基にした主張を行う際には、その正当性を証明するデータや根拠を用意することが求められます。

このルールを理解し、適切に運用することで、信頼性の高い広告を展開し、消費者の信頼を獲得することができます。今回は、最上級表現を使用する際の具体的なルールと注意点について詳しく解説します。

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最上級表現とは

最上級表現」とは、広告において商品やサービスの優位性を強調するために用いられる言葉で、例えば「No.1」や「世界初」といった表現がこれに該当します。

消費者に対する影響力が大きい一方で、誤解を招く可能性もあるため、特に景品表示法では厳しい規制が設けられています。この法律は、事業者が誇大広告を行うことを防ぎ、消費者が正確な情報に基づいて選択できる環境を整えることを目的としています。

最上級表現を使用する際には、その主張を裏付ける具体的な根拠が必要です。例えば、「No.1」を名乗る場合は、どの期間や地域でのデータを基にしているのか、またはどのような評価基準を用いたのかを明示することが求められます。

誤った表現は信頼性を損なうだけでなく、法律違反として罰則の対象となる可能性もあるため、事業者は慎重に取り扱う必要があります。このように、最上級表現の適切な使用について理解を深めることが重要です。

最上級表現の種類は3つ

最上級表現には「最大級表現「比較表現」「絶対的表現」の3種類があります。

最大級表現は、特定の基準に対して最も優れていることや、他と比べた場合に優れていることを示します。比較表現は、他商品、サービスなどと比較することで自社の優位性を強調します。絶対的表現は、他と比べずに明確な優位性を主張します

これらの表現を使う際は、根拠をしっかり示し、景表法に従った正確な情報提供が求められます。

①最大級表現

最大級表現は、広告において商品やサービスの優位性を際立たせるための表現方法で、特にその特性や価値が他と比べて最も優れていることを示します。

例えば、「最高品質」や「最高の顧客満足度」といったフレーズがこれに該当します。このような表現は、消費者に強い印象を与え、購入意欲を高める効果がありますが、同時に慎重に扱う必要があります。

最大級表現を使用する際には、その主張を裏付ける具体的な根拠を提示しなければなりません。例えば、「最高の顧客満足度」と言う場合、そのデータや調査の詳細を示すことが求められます。根拠が不十分な場合、誤解を招く恐れがあり、企業の信頼性を損なうリスクがあります。

したがって、最大級表現を適切に活用することで、消費者に対して信頼性の高いメッセージを届けることが可能になります。透明性を持った広告展開は、企業にとって重要な戦略の一部です。

最大級表現の例
  • 最高
  • 最も
  • 最先端
  • 最長
  • 最高峰
  • 最強
  • 首位
最大級表現の使用例
  • 最高の顧客満足度
  • 最も売れている商品
  • 最先端の技術

②比較表現

比較表現は、広告において自社の製品やサービスを他社や他商品と比較することで、優位性を強調する手法です。

具体的には、「国内シェアNo.1」「最安値を提供する」といったフレーズが該当します。この表現は、消費者に選択肢を提供し、購買意欲を刺激する効果があります。

ただし、比較表現を使用する際には、景品表示法に従った正確な根拠を示すことが求められます
たとえば、他社との比較においては、使用するデータや調査の出典を明示し、誤解を招かないよう配慮する必要があります。

根拠が不十分であったり、誤った情報を提供した場合、消費者の信頼を損なうだけでなく、法律違反として罰則の対象となることもあります。

そのため、比較表現を適切に活用することで、信頼性の高い広告を展開し、消費者に対して正しい情報を提供することが重要です。

比較表現の例
  • No.1
  • 唯一
  • 日本一
  • 世界初
  • トップクラス
比較表現の使用例
  • 国内シェアNo.1
  • 業界トップクラスの品質

③絶対的表現

絶対的表現は、広告において特定の商品やサービスが他と比較することなく、明確に優れた特性や性能を主張するための表現手法です。

例えば、「万能な製品」や「人気抜群」といったフレーズがこれに該当します。これらの表現は消費者に対して強い印象を与え、購買意欲を喚起する効果があります。

しかし、絶対的表現を使用する際には、景品表示法に基づく正確な根拠を示すことが求められます。主張が事実であることを裏付けるデータや証明がなければ、誤解を招く恐れがあり、消費者の信頼を損なう可能性があります。また、法的な問題を引き起こすことも考えられるため、注意が必要です。

したがって、絶対的表現を効果的に活用するためには、しっかりとした裏付けを持ち、透明性を持った情報提供を行うことが重要です。信頼性の高い広告展開を行うことで、消費者との良好な関係を築くことができます。

絶対的表現の例
  • 絶対
  • 必ず
  • 万能
  • 抜群
  • 圧倒的
絶対的表現の使用例
  • 国内シェアNo.1
  • 業界トップクラスの品質

最上級表現の使用条件は2つ

最上級表現を広告で使用する際には、2つの重要な条件があります。

まず、客観的な調査結果があることです。自社の優位性を主張するには、実績やデータに基づいた信頼性のある情報が求められます。

次に、調査結果を正確かつ適正に引用していることが重要です。出典や基準を明示することで、消費者に誤解を与えず、透明性のある広告展開が実現します。

これらの条件を満たすことで、信頼性の高いコミュニケーションが可能になります。

①客観的な調査結果がある

最上級表現を広告で使用する際の重要な条件の一つが「客観的な調査結果がある」ということです。

この条件は、消費者に対して誤解を招かず、信頼性の高い情報を提供するために不可欠です。例えば、「最先端の技術」や「最も売れている商品」と主張する場合、その裏付けとして、第三者機関が行った調査結果や販売データなど、客観的な証拠が必要です。

客観的な調査結果は、一般に認知された方法で収集されたデータや、広く受け入れられている基準に基づくものでなければなりません。このようなデータがあることで、消費者は広告の主張を信じる根拠を得ることができます。また、調査結果が公正に行われ、信頼できる出典から引用されていることが重要です。

この条件を満たさない場合、最上級表現は誇大広告と見なされるリスクがあります。結果として、企業は法律上の問題を抱えることになり、信頼性を損なう恐れもあります。そのため、最上級表現を使用する際には、必ず客観的な調査結果を持ち、それを基にした正確な情報提供を心がけることが大切です。

②調査結果を正確かつ適正な形で引用

最上級表現を広告で使用する際の重要な条件の一つが「調査結果を正確かつ適正な形で引用する」ことです。

この条件は、消費者に対して透明性を保ち、誤解を避けるために不可欠です。例えば、「業界トップクラスの品質」と主張する場合、その根拠として引用する調査データは正確でなければなりません。

正確な引用とは、調査の実施方法、対象、期間などの詳細を明示することを指します。出典を示すことで、消費者はその情報の信頼性を判断できるようになります。また、引用するデータが誤解を招かないように、適正な文脈で使用することも重要です。例えば、調査の目的や条件が異なる場合、その結果を単純に比較することは避けるべきです。

適正な形での引用には、調査を実施した機関の信頼性や、その結果がどのように収集されたかを確認することが含まれます。これにより、企業は誇大広告と見なされるリスクを回避し、消費者からの信頼を築くことができます

したがって、最上級表現を使用する際は、調査結果を正確かつ適正に引用することが、信頼性のある広告を実現するための重要な要素となります。

最上級表現を使用できない場合の言い換え表現一覧

景品表示法は、消費者を誤解させるような広告表現を規制する重要な法律です。

特に「最上級表現」を使用できない場合、事業者は代わりにどのような言葉を用いるべきかが悩みの種となります。

ここでは、法律を遵守しつつ魅力的な広告を作成するための言い換え表現を詳しく解説します。正しい表現を選ぶことで、信頼を築きながら効果的なマーケティングを実現しましょう。

①最大級表現の言い換え

No最大級表現言い換え表現解説
1最先端の製造方法を使用した美容液先端の製造方法を使用した美容液化粧品では、製造方法等に関する最上級表現は薬機法で認められていません。
2最高峰の技術を使用したクリーム独自の技術を使用したクリーム化粧品では、製造方法等に関する最上級表現は薬機法で認められていません。

②比較表現の言い換え

No比較表現言い換え表現解説
1日本一の洗浄力をもつ洗顔料高い洗浄力をもつ洗顔料化粧品では、効能効果、安全性についての最大級表現は認められていません。
2保湿力No.1保湿力No.1※
※自社従来品と比較して
化粧品では、効能効果、安全性についての最大級表現は認められていません。ただし、自社製品の中でのNo.1ということであれば、表現可能です。

③絶対的表現の言い換え

No絶対的表現言い換え表現解説
1これまでにない洗浄力をもつ洗顔料高い洗浄力をもつ洗顔料化粧品では、効能効果、安全性についての最大級表現は認められていません。
2絶対乾燥させない優れた保湿力で乾燥を防ぐ化粧品では、効能効果、安全性についての最大級表現は認められていません。

ここでは一般的な言い換え表現について紹介させていただきました。

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最上級表現における違反事例を3つご紹介

景表法に基づく広告表現は、消費者を誤解させないために厳格なルールが定められています。しかし、事業者が意図せず違反してしまうことも少なくありません。

本記事では、最上級表現に関連する具体的な違反事例を3つ取り上げ、どのように法令を遵守しながら効果的な広告を行うべきかを考察します。

①実際に使用の有無を確認せずに行った、イメージ調査のNo.1

自社ウェブサイトで「オンライン家庭教師で利用者満足度No.1」や「口コミ人気度第1位」といった表示を行い、自社のサービスが他社よりも満足度で1位であるかのように示していました

しかし、実際の調査は、登録会員全員を対象として調査を行ったもので、利用者に絞ったものではなかったため、信頼性が欠けるものであり、措置命令が出されました。

違反とならないよう、信頼できるデータを収集し、合理的な根拠資料を元に表示を行う必要があります。なお、根拠資料を整理し、必要に応じて提示できるようにしておくことも重要です。

参照元:【消費者庁】株式会社バンザンに対する景品表示法に基づく措置命令について

②ランキングサイトで勝手に捏造No.1

実際には存在しないマーケティング会社を装って、同業の複数の業者のサービスを比較する虚偽のホームページを設け、自社がランキングの上位に選ばれたように見せかけていたとして、措置命令が出された事例があります。

そのホームページでは、「最大手」、「業界No.1」、「日本一」などの表示を行い、自社の役務が業界で最も優れているかのように印象付けていました。

具体的には、当該役務に係る業界において自社が最大手又は一番の事業者であるかのように示す表示や顧客満足度が第1位であるなどと表示し、顧客アンケートで「大満足」や「満足」と回答した割合が93.0%であると表示していました。しかし、これらの表示に対する合理的な根拠を求められた結果、当該資料を提出しませんでした

なお、当該役務に係る業界において自社の技術力が第1位であるかのように示す表示や、年間受注実績が第1位であるなどと表示していました。しかし、これらの表示に対する合理的な根拠を求められた結果、同社は一部の表示に対して資料を提出しましたが、その内容は表示の裏付けとして認められませんでした。

違反とならないよう、虚偽の表示はせず、信頼できるデータを収集し、合理的な根拠資料を元に表示を行う必要があります。なお、根拠資料を整理し、必要に応じて提示できるようにしておくことも重要です。

参照元:【旅行業公正取引協議会】株式会社ARS及び株式会社リュウセンに対する景品表示法に基づく措置命令について

③そもそも事実がなかったNo.1

自社ウェブサイトで、「楽天リサーチで2冠達成」や「バストアップ第1位 施術満足度」といった表示を行っていた事例です。

楽天インサイトが実施した調査で施術満足度が第1位であるかのように表示していましたが、実際には楽天インサイトが行った調査は実際サービスを利用した者に対するものではなく、調査結果も施術満足度が第1位ではありませんでした。そのため、事実に反した表示内容を行っていたとして、措置命令が出されました

違反とならないよう、虚偽の表示はせず、信頼できるデータを収集し、合理的な根拠資料を元に表示を行う必要があります。なお、根拠資料を整理し、必要に応じて提示できるようにしておくことも重要です。

参照元:【消費者庁】株式会社PMKメディカルラボに対する景品表示法に基づく措置命令について

広告ルールに違反してしまった場合の罰則

景表法に違反した広告は、事業者にとって深刻な問題を引き起こす可能性があります。

消費者を誤解させるような表現を使用した場合、行政からの指導や罰則が科されることもあります。本記事では、広告ルールに違反した際の具体的な罰則やその影響について詳しく解説します。法令を遵守し、安全な広告運営を行うための参考にしてください。

行政指導

行政指導は、景品表示法に違反する恐れがある行為に対して、事業者に改善を促す措置です。

違反が軽微な場合や即時の是正が可能な場合に適用されます。具体的には誤解を招く広告表示や不当な景品提供の疑いがある場合に、消費者庁や都道府県の担当機関が指導を行います。行政指導の内容は以下の通りです。

  • 改善指示:誤解を招く広告表示や不当な景品提供の是正を指示します。
  • 警告:将来的に違反行為に繋がる可能性がある行為に対して警告を発します。
  • 是正処置:具体的な改善策を提示し、事業者にその実行を求めます。

行政指導は報道発表されないため、企業の信用への直接的な影響は少ないですが、指導に従わない場合は、後に措置命令や課徴金納付命令が発せられる可能性があります。

措置命令

措置命令は、景品表示法に違反した事業者に対して、消費者庁や都道府県の担当機関が発する強制的な命令です。この命令は、消費者に対して誤認を排除し、違反行為の再発防止を目的としています。

措置命令が発せられると、事業者は以下の対応を求められます。

  • 一般消費者に対して誤認を排除すること
  • 再発防止策を講じること
  • 違反行為を取り止めること

措置命令に従わない場合、事業者の体表者には2年以下の懲役または300万円以下の罰金、事業者自体には最大3億円の罰金が科せられることがあります。また、措置命令は報道発表されるため、企業の信頼失墜にも繋がります。

課徴金制度

課徴金納付命令は、景品表示法に違反した事業者に対して、消費者庁が違反行為に対する経済的な制裁として発する命令です。この命令は、消費者に対する不当な表示や景品提供に対して、違反の抑止と再発防止を図ることを目的としています。

課徴金納付命令が発せられる際のプロセスは以下の通りです。

  • 違反行為の確認:優良誤認表示や有利誤認表示などの違反行為が確認されます。
  • 弁明の機会:事業者には、違反行為について弁明する機械が与えられます。
  • 課徴金の決定:違反行為に係る商品の売上額3%を乗じた金額が課徴金として賦課されます。

課徴金は、違反行為の重大さや影響の大きさに応じて決定され、事業者にとっては経済的な負担となるだけでなく、企業の信用にも大きな影響を与えます

まとめ

「No.1」などの最上級表現を広告に使用する際は、景表法に基づいて厳格なルールを守る必要があります。具体的には、これらの表現が真実であることを裏付ける具体的なデータや第三者の評価を提示することが求められます。

また、比較対象を明示しないと、消費者が誤解する可能性があるため、注意が必要です。
このようなルールに従わない場合、行政指導や罰則が科されるリスクもあります。

広告表現は消費者の信頼を得るための重要な要素です。正確かつ透明な情報を提供することで、ブランドの信頼性を高めることができます。最上級表現を適切に使うことで、他社との差別化を図りながらも、法令遵守を怠らない姿勢が求められます。

広告戦略の一環として、消費者に誤解を与えない内容を心がけることが、持続的なビジネスの成長につながります。最終的には、景表法を遵守しながらも効果的な広告を展開することが、事業者にとっての究極の目標であると言えるでしょう。

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