薬機法広告ラボ

化粧品と医薬部外品の違いとは?薬機法や景表法におけるルールも解説

化粧品と医薬部外品の違いを正しく理解していますか?

事業者として商品の開発や販売を行う際、この2つのカテゴリの違いを把握することは非常に重要です。

どちらも薬機法で定義されており、それぞれ異なるルールが適用されることもあります。そのため、違いを知らずにうっかりルールを逸脱、ということも起こりやすいところです。

本記事では、化粧品と医薬部外品の基本的な違い、具体例、さらに関連する法律について詳しく解説します。

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化粧品とは?

まずは化粧品について解説します。

化粧品はご存じの通り、日常生活に欠かせないアイテムです。メイクには興味がない、縁がないという方であっても、日常生活の中でほぼ必ずと言っていいほど使用したことがあるはずです。

この化粧品、法律上は具体的にどのように定義されているのでしょうか。ここでは、化粧品の定義、使用目的、効果の範囲、そして具体例について詳しく説明します。

化粧品の定義

薬機法では、化粧品は下記の通り定義されています。

「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)

条文のみではわかりにくいですが、「人の体に使うもので、体を清潔にしたり、キレイにしたり、健やかさを保つ為のもので、医薬品や医薬部外品ほどの作用がないもの」と捉えていただければと思います。

使用目的と効果の範囲

化粧品の効果は、基本的に人体に穏やかに作用するものに限られます。薬理作用を目的とした成分や効果は認められず、肌の一時的な潤いや美化が主な目的です。

広告で標ぼうできる化粧品の効能効果は、平成23年7月21日付の厚生労働省の通知により、46項目が定められています

46の効能効果は毛髪、頭皮、皮膚、口唇、歯などへの効果を表したもので、「頭皮、毛髪を清浄にする。」「皮膚にうるおいを与える。」「口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。」などが挙げられています。

これらはどれもが穏やかで一時的な作用であり、医薬品などの劇的な効果はないことが見て取れると思います。

化粧品の具体例

それでは、化粧品には具体的にどのようなものがあるでしょうか。以下に具体例をいくつか挙げてみます。

  • スキンケア用品
    クレンジング、化粧水、乳液、クリーム、美容液、フェイスマスク(いわゆるパック)、ボディクリームなど
  • メイクアップ用品
    化粧下地、ファンデーション、フェイスパウダー、マスカラ、アイシャドウ、口紅、チークなど
  • ヘアケア用品
    シャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアオイルなど
  • フレグランス
    香水、ボディスプレーなど
  • バス用品
    ボディソープ、入浴剤など
  • 口腔ケア用品
    歯磨き粉、洗口液など

他にもたくさんの化粧品がありますが、主にこのような商品があると覚えておきましょう。

医薬部外品とは?

医薬部外品は化粧品と似ている部分もありますが、薬理作用を持つ成分を含む点で大きく異なります。よく「有効成分」という言葉を耳にすると思いますが、化粧品と医薬部外品の最も大きな違いは、医薬部外品には有効成分があり、化粧品にはないという点です。

そのため、薬機法上の規制も異なり、化粧品よりも効果や効能をアピールできる場合があります。ここでは、医薬部外品の定義、使用目的と効果の範囲、そして具体例について詳しく見ていきます。

医薬部外品の定義

医薬部外品は、薬機法では以下のように定義されています。

「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)

かなり複雑ですが、「医薬品と化粧品の中間に位置する製品」と考えていただければわかりやすいかと思います。

医薬品ほど強い効能効果は持たないものの、疾病予防や体の健康維持を目的とする成分が含まれています。また、厚生労働省の承認を受けて販売されることが義務付けられており、この承認により効能や効果を一定の範囲で表示することが許可されます。

なお、医薬部外品の化粧品は「薬用化粧品」と言われる場合もあります。

使用目的と効果の範囲

医薬部外品の使用目的は、主に人体に対する予防や健康の維持、改善を図ることにあります。

たとえば、「手指・皮膚の洗浄・消毒」「にきびを防ぐ」「体臭を防ぐ」といった効果は、化粧品では表示できませんが、医薬部外品であって、承認を得ていれば可能です。

また、医薬部外品の中にも指定医薬部外品、新指定医薬部外品、薬用化粧品などさまざまな分類があり、その用途に応じて効能効果も多岐にわたります。薬理作用はあるものの、医薬品ほどの強力な作用は認められていません。

なお、広告表現においては、承認された効能効果以外を述べることはできませんが、薬用化粧品においては、有効成分以外の成分(その他成分)について化粧品の46の効能効果を述べることができます。

医薬部外品の具体例

それでは医薬部外品にはどのようなものがあるでしょうか。医薬部外品の具体例を下記にいくつか挙げてみます。

  • スキンケア
    薬用美白化粧水、薬用ニキビケアクリーム、薬用美容液など
  • ヘアケア
    薬用育毛剤、薬用シャンプー、染毛剤など
  • オーラルケア
    薬用歯磨き粉、薬用デンタルリンスなど
  • その他
    制汗剤、薬用石鹸、栄養剤など

これらは厚生労働省による成分や効能の確認を経て、医薬部外品として認可されます。例えば、薬用美白化粧水にはメラニンの生成を抑える成分が含まれている場合があり、「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」といった表示が可能です。

また、薬用歯磨き粉では、虫歯予防口臭防止といった効能効果を訴求できます。

化粧品と医薬部外品の違い

化粧品と医薬部外品は、使用目的や効果、規制内容が異なり、それぞれの特性を理解することが重要です。特に事業者としては、どちらに該当する製品を扱うのかにより、商品表示や広告、販売方法が大きく変わります。

ここでは、化粧品と医薬部外品の違いを分かりやすく比較表形式で解説します。

項目化粧品医薬部外品
使用目的身体を清潔にし、美化・保湿するなど、外観を整えることを目的とする軽微な薬理作用を利用して、疾病予防や健康維持を目的とする
効果の範囲穏やかな作用に限られ、疾病の治療や予防を目的としない成分が一定濃度で配合され、効果や効能を限定的に表示可能
表示可能な効能効果「肌を潤す」「髪を滑らかにする」といった一時的な改善「フケやかゆみを防ぐ」「歯を白くする」といった具体的な効能
承認手続き基準に適合し、全成分を容器に表示する等すれば承認は不要(ただし、品目ごとに都道府県知事に届け出が必要)厚生労働省の承認が必要
化粧水、乳液、香水など薬用美白化粧水、育毛剤、薬用歯磨き粉など

化粧品は主に肌や髪を一時的に美しく整えるものであり、その効果は穏やかであることが前提となります。一方、医薬部外品は特定の成分が一定濃度配合されており、効能効果を限定的に表示できる点が特徴です。

また、医薬部外品は厚生労働省の認可が必要であり、商品開発においては追加のコストと時間がかかることがあります。

たとえば、保湿目的のスキンケア製品の場合、化粧品では「肌を潤す」といった表現しか使用できませんが、医薬部外品であれば「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」「にきびを防ぐ」といった効能を明記することが可能です。これは、使用目的や効果範囲が異なるためです。

この違いを理解することで、製品開発やマーケティングにおいてどのカテゴリを選ぶべきか、適切な判断を下すことができます。

ここでは化粧品と医薬部外品の違いについて紹介させていただきました。化粧品と医薬部外品では標榜できる効能効果に違いがあるので、しっかり押さえておきましょう。

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薬機法上のルールについて

化粧品や医薬部外品を扱う事業者にとって、薬機法は避けて通れない重要な法律です。

薬機法は、製品の安全性や有効性を保証するために、製造・販売・広告に至るまで厳格なルールを設けています。本章では、薬機法の基本的な目的、違反時の罰則、そして化粧品と医薬部外品それぞれに適用される具体的なルールについて解説します。

そもそも薬機法とは

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の製造や販売、広告を規制する法律です。

この法律の主な目的は以下の通りです。

  • 人々の健康被害を防ぐ
    製品の安全性を確保するために、成分や製造過程に関する規制を設けています。
  • 製品の有効性を保証する
    表示される効能効果が科学的根拠に基づくものであることを求めます。
  • 適正な情報提供を促す
    広告で誇張や虚偽の表現を防止し、消費者に正確な情報を伝えることを義務付けます。

薬機法に違反した場合、罰金刑や製品の販売停止、最悪の場合には懲役刑が課される可能性があります。特に、虚偽や誇大な広告で消費者を誤認させた場合には、厳しい罰則が科されるため注意が必要です。

化粧品における薬機法のルール

化粧品は薬機法により、以下のようなルールが設けられています。

  • 成分表示の義務化
    化粧品のラベルには、全成分を表示することが義務付けられています。これは消費者が安全に商品を選べるようにするためです。また、アレルギーリスクのある成分については明確に記載する必要があります。
  • 効能効果の範囲
    化粧品で表示できる効果は、人に穏やかに作用する範囲に限られます。「保湿」「肌を滑らかにする」といった一般的な表現は許可されますが、「ニキビを治す」「シワを改善する」といった医薬品や医薬部外品に該当する効果は表示できません。
  • 広告規制
    広告においては、科学的根拠のない誇張表現や消費者を誤解させる表現が禁じられています。例えば、「絶対に効果がある」「医師が推奨」といった文言は、薬機法違反となります。詳しい内容は医薬品等適正広告基準に定められているため、化粧品や医薬部外品の広告を行う際には必ずご一読ください。

医薬部外品における薬機法のルール

医薬部外品に関しては、以下のようなルールが設けられています。

  • 厚生労働省の承認義務
    医薬部外品は、その成分や効果について厚生労働省の承認を受ける必要があります。承認を得るためには、成分データや試験結果を提出し、安全性と有効性が確認されなければなりません。
  • 表示可能な効能効果
    医薬部外品では、承認された範囲内で効能効果を表示できます。例えば、「フケやかゆみを防ぐ」「肌の乾燥を予防する」などが該当します。ただし、医薬品のように治療を目的とする表現は使用できません。
  • 製造販売業の許可
    医薬部外品を製造・販売する事業者は、都道府県知事の許可を受ける必要があります。この許可には製造所の基準適合や責任者の配置などの条件があります。
  • 広告規制
    医薬部外品の広告は、承認された効能効果に基づいて行わなければなりません。たとえば、実際にはフケ予防の成分しか含まれていない製品に対して、「髪を生やす」といった表現を使用することは違反となります。医薬部外品の広告規制についても医薬品等適正広告基準に定められているため、必読です。

景表法上のルールの違い

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、消費者が適切な選択を行えるようにするため、商品やサービスの表示内容に対する規制を定めた法律です。

化粧品や医薬部外品においても、誇大広告や不当表示を防ぐため、景表法によるルールが適用されます。この章では、景表法の基本的な目的と罰則、さらに化粧品と医薬部外品それぞれのルールについて詳しく解説します。

そもそも景表法とは

景品表示法は、商品やサービスの誤認を招くような表示を規制し、消費者の利益を守るための法律です。

この法律の目的は、下記の通りとなります。

  • 消費者の適正な判断を保護する
    商品の特性や性能について、事実に基づかない表示や過大な表示を禁止し、消費者が誤解しないようにすることを目的としています。
  • 市場の公正な競争を促進する
    不当な表示を排除することで、企業間の健全な競争環境を維持します。

違反が発覚した場合、行政指導、そして措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります。更には、2024年10月から直罰規定も罰則として加わっています。

特に化粧品や医薬部外品は、消費者にとって身近な商品であるため、表示内容には厳しいチェックが求められます。

化粧品における景表法のルール

化粧品の表示に関しては、景表法により、主に以下のようなルールが定められています。

  • 優良誤認表示の禁止:
    化粧品の効能や効果を実際以上に良いものとして表示することは禁じられています。たとえば、「シワを完全になくす」「肌年齢が10歳若返る」といった表現は、根拠がない場合には優良誤認表示とみなされる可能性があります。
  • 有利誤認表示の禁止:
    価格や特典について、事実と異なる表示を行うことも違反です。たとえば、「期間限定セール」として通常価格と同じ値段で販売する行為は有利誤認に該当します。
  • ステルスマーケティング規制:
    2023年10月から、ステルスマーケティングの手法を用いた広告は違反となりました。事業者からインフルエンサーなどに依頼して商品のPRをしてもらう場合などに、事業者による広告であることが不明瞭であれば、ステルスマーケティングに該当するおそれがあります。

医薬部外品における景表法のルール

医薬部外品の表示においても、化粧品と同様に景表法の遵守が必要です。
特に、以下の点で注意が必要です。

  • 優良誤認表示
    医薬部外品では、厚生労働省により承認された効能効果しか広告で表現できません。その中で、たとえば、「シワ改善」の薬効のある薬用化粧水の広告に「シワを消し去る」と記載すると、実際の商品にない効果があると標ぼうすることになり、優良誤認表示となります。
  • 有利誤認表示
    化粧品と同様、消費者に対して実際の取引以上に消費者に有利な取引であると誤認させるような表示は有利誤認となります
  • ステルスマーケティング規制
    こちらも化粧品と同様、ステルスマーケティングを行うことで景表法違反となります。例えば、モニターに商品を使ってもらい、その感想を編集して自社LP内に掲載するような場合には、その旨をしっかりと表示しなければステルスマーケティングと見なされる恐れがあります。

まとめ

化粧品と医薬部外品の違いを理解することは、事業者にとって重要な課題です。本記事では、それぞれの定義や特徴をはじめ、薬機法や景表法におけるルールの違いについて詳しく解説しました。

化粧品は、肌や髪を清潔に保ち、美化する目的で使用される製品であり、穏やかな作用が求められます。一方で医薬部外品は、特定の成分が一定濃度で含まれ、疾病予防や健康維持といった目的を持つ製品であることが特徴です。これらの違いは、使用目的や効果の範囲、さらには製造販売における規制内容にも反映されています。

また、薬機法では製品の安全性や有効性を確保するための厳格な基準が設けられており、化粧品と医薬部外品で異なるルールが適用されています。さらに、景表法では、消費者を誤認させないための表示規制が課されており、科学的根拠のない表現や誇大広告、取引の内容を著しく消費者に有利と誤認させる表示、ステルスマーケティングなどが禁止されています。

これらの法律や規制を正しく理解し、適切に対応することで、消費者からの信頼を得ることができ、長期的なビジネスの成功につながります。製品開発や広告戦略を考える際には、今回の内容をぜひ参考にしてください。

この記事が、化粧品と医薬部外品の違いを明確にし、適切な事業運営の一助となれば幸いです。

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