薬機法広告ラボ

【そのまま使える表現付き!】薬機法における歯磨き粉広告のルールを解説

以前、薬機法広告ラボでオーラルケア商品の標榜可能な効能効果について、ご紹介をしました。今回はその中でも、健康維持に欠かせない「歯磨き粉」について詳しく解説していきます。

化粧品と医薬部外品、どちらに該当するかで標榜可能な範囲も大きく異なります。 ポイントをしっかり抑えて、薬機法を遵守した魅力的な広告を作成しましょう!

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薬機法とは

薬機法は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が正式名称であり、略して「薬機法」や「医薬品医療機器等法」と呼ばれています。

以前は薬事法という法律でしたが、2014年(平成26年)の法改正に伴い、現在の名称に変更されました。

薬機法の目的

薬機法は、対象物の品質・有効性や安全性を確保し、保健衛生上のリスクを防ぐことを目的として作られた法律です。

製造・販売・広告などに関するルールを細かく定めおり、薬機法の規制により、国で認められていない成分や入っている医薬品の販売や、誇大広告による誤認使用等における人体への影響等を未然に防ぐことが可能となりました。

国民の健康と安全を守るために非常に重要な役割を果たしている薬機法。正しく理解をして、適正な表現を用いた広告を作成しましょう。

薬機法規制の対象となるもの

薬機法の規制対象は、以下の5つの分野です。

  • 医薬品
    病気の診断、治療、予防に使用されるもの
  • 医薬部外品
    医薬品ほど強い効果はないが、人体に作用するもの
  • 化粧品
    人の身体を清潔、美化するために使用されるもの
  • 医療機器
    診断や治療に使用される機器
  • 再生医療等製品
    細胞や遺伝子を用いた治療製品

広告に関する法律の一つとして、景品表示法があります。

景品表示法は全ての表示に対して定められている法律であるのに対し、薬機法は特定の商品に対して定められた法律となりますので、違いもしっかり抑えておきましょう。

歯磨き粉は薬機法の広告規制の対象となる

薬機法において、歯磨き粉は「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」のいずれかに分類されます。どれに該当するかによって、標榜可能な効能効果は大きく変わります。

本記事では、「化粧品」「医薬部外品」の歯磨き粉について、詳しく解説していきます。

化粧品における薬機法のルール

化粧品としての歯磨き粉は、研磨剤などの基本成分で構成されており、物理的に歯の汚れを落とし、歯の表面を綺麗にすること等が認められています。

具体的に、以下のような効能効果を標榜することができます

  • 虫歯を防ぐ(※)
  • 歯を白くする(※)
  • 歯垢を除去する(※)
  • 歯のやにをとる(※)
  • 歯石の沈着を防ぐ(※)
  • 口臭を防ぐ
  • 口中を浄化する

※については、ブラッシングを伴う場合に限ります。

また、日本歯磨工業会による「歯みがき類の表示に関する公正競争規約」には、歯磨き類に含有する薬用成分以外の含有する成分の特記表示について、下記の配合目的又は類する表現の範囲におさめるよう定められています。

  • 基剤
  • 研磨剤
  • 清掃剤
  • 湿潤剤
  • 保湿剤
  • 粘結剤
  • 発泡剤
  • 清掃助剤
  • 香味剤
  • 甘味剤
  • 着色剤

医薬部外品における薬機法のルール

一方、医薬部外品の歯磨き粉は、研磨剤等の基本成分に加えて、薬用成分が1つ以上含まれており、薬理的な効能効果を標榜することができます

具体的には、以下のような効能効果を標榜することができます

  • 歯を白くする
  • 口中を浄化する
  • 口中を爽快にする
  • 歯周病(歯槽膿漏)の予防
  • 歯肉炎の予防
  • 歯石の沈着を防ぐ
  • 虫歯を防ぐ
  • 虫歯の発生及び進行の予防
  • 口臭の防止、タバコのヤニ除去

また、薬用化粧品と同じく、事実ならば化粧品効能も併せて標榜することができます

【そのまま使用OK!】歯磨き粉の広告に使える表現一覧

では、実際に広告で使用できる、OK表現をご紹介します。

化粧品に該当する歯磨き粉で使用可能な広告表現

まずは、化粧品の歯磨き粉から紹介します。

No広告表現訴求したい効果
1毎日のブラッシングで虫歯を防ぐ虫歯についての訴求
2日々のブラッシングで、美しい白い歯を手に入れるホワイトニングについての訴求
3歯垢対策を 、毎日の習慣に歯垢についての訴求
4やにをすっきり除去して※、素敵な口元へ
※ブラッシングによる効果
やにについての訴求
5歯石沈着を防ぎ※、清潔感あふれる口元に
※ブラッシングによる効果
歯石についての訴求
6口臭を予防して、さわやかな息を保つ口臭予防についての訴求
7口中を浄化し、清潔感あふれる毎日を口中浄化についての訴求

※(1)(2)のように、文中に「ブラッシング」を入れる場合は、注釈等での追記は不要です。文中に入れない場合は、例を参考に「※ブラッシングによる効果」等と明記することが必要となります。

医薬部外品に該当する歯磨き粉で使用可能な広告表現

次に、医薬部外品の歯磨き粉のOK表現についてご紹介していきます。

No広告表現訴求したい効果
1歯の美白を叶える、効果的なケアホワイトニングについての訴求
2口内の浄化で、健康的な毎日を口中浄化についての訴求
3口内に広がる爽快感で、気分も上がる口中の爽快についての訴求
4歯周病知らずの美しい口内環境を歯周病についての訴求
5歯肉炎を防ぐ、あなたの強い味方歯肉炎についての訴求
6歯石の原因にしっかりアプローチ歯石の沈着についての訴求
7ムシ歯を防ぐための科学的アプローチ虫歯についての訴求
8ムシ歯の原因をしっかりブロック虫歯の発生についての訴求
9心地よい息を保つ、毎日のルーティンに口臭の防止についての訴求

医薬部外品では、薬効が認められているものに関しては、ブラッシング効果を明記する必要はありません。承認されている薬効に基づいて、事実の範囲内で効能効果を訴求することが重要です。

ここでは一般的な歯磨き粉の広告表現について紹介させていただきました。

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よくあるNG表現

  • 実際の効果を超える表現や、根拠のない効果を謳っている
  • 化粧品や医薬部外品で認められている枠から逸脱し、医薬品のような効能効果を謳っている

上記に触れる表現を記載した場合、薬機法に抵触する可能性があります。具体的なNG表現を確認していきましょう。

NG表現①「歯周病を治す」

治すという治療表現は、化粧品・医薬部外品の効能から逸脱しています。

OK例

「日々のケアで、歯周病を防ぐ」

NG表現②「歯石を除去する」

除去行為は、医療行為に当たります。標榜可能は範囲は「歯石の沈着を防ぐ」であるため、沈着後については触れないようにしましょう。

OK例

「毎日のブラッシングで、歯石の沈着を抑える」

NG表現③「内側から歯を白くする」

化粧品・医薬部外品で認められている歯のホワイトニング効果は、「歯の表面にある汚れを落とすことによるホワイトニング」です。
そのため、内側からという表記はNGとなります。

OK例

「汚れを落とすことにより、美しい白い歯へ導きます」

NG表現④「この歯磨き粉を使うことで、虫歯を完全に予防できる」

過度な効果を示唆する表現は誇大広告となり、認められていません。

OK例

「口内環境と整え、虫歯を防ぎます」

NG表現⑤「瞬間ホワイトニング」

即効性を示す表現は誇大広告となり、認められていません。

OK例

「日々のブラッシングで、美白ケア」

薬機法に違反してしまった場合の罰則

薬機法に違反した場合、違反の種類に応じてさまざまな罰則が科されます。どのような罰則があるのかを確認し、万が一指導が入った際に迅速に対応ができるよう、体制をしっかりと整えましょう。

行政指導

薬機法に基づく行政指導は、違反行為があった場合に、行政機関が事業者に対して行う指導や勧告のことを指します。

  • 業務改善の指導
    違反行為の内容を指摘し、適切な手続きや改善策を求めることがあります。
  • 文書による警告
    違反の事実を記載した文書が送付され、速やかな是正措置が求められます。
  • 報告義務
    改善措置を講じた結果について報告を求められる場合があります。
  • 再発防止策の提案
    再発を防ぐための具体的な提案が行われることもあります。

行政指導は法的な罰則とは異なり、直接的な罰を科すものではありません。ただ、指導に従わない場合は厳しい措置が取られる可能性があります。指導に従い、早期に是正措置を講じることが重要です。

措置命令

薬機法に基づく措置命令は、違反行為があった場合に行政機関が事業者に対して発する法的な命令です。

  • 業務停止命令
    違反行為が重大である場合、特定の業務を一定期間停止するよう命じられることがあります。
  • 製品の回収命令
    安全性や有効性に問題がある医薬品や医療機器について、回収を命じられることがあります。
  • 改善命令
    特定の違反内容について、是正措置を講じるよう命じられることがあります。
  • 営業許可の取り消し
    違反を繰り返した場合、営業許可が取り消される可能性もあります。

措置命令には従う義務があり、従わない場合はさらに厳しい罰則が科されることがありますので、迅速に対応することが重要です。

課徴金納付命令

薬機法における課徴金納付命令は、違反行為に対して金銭的な罰則を科す措置です。課徴金納付命令は違反行為に対する重要な抑止力となりますので、適切な遵守が求められます。

  • 課徴金の算定
    違反によって得た利益に基づいて課徴金の額が決定されます。具体的な算定方法は、違反の内容や規模により異なります。
  • 命令の発出
    行政機関が課徴金納付命令を出すことで、事業者は指定された期限内に金額を納付する義務があります。
  • 不服申し立て
    課徴金納付命令に不服がある場合、異議申し立てを行うことができますが、手続きや期限には注意が必要です。

課徴金の支払いは企業にとって大きな財政的負担となるため、再発防止策を講じる必要が生じます。

薬機法に違反しないための対策

薬機法に違反しないためには、規制対象となる商品や広告規制のガイドラインを正しく理解し、遵守することが重要です。

対策のポイントをいくつかまとめてみたので、是非参考にしてみてください。

薬機法に関する社内研修を実施する

薬機法を遵守する上で、社内研修は非常に重要です。研修を行う上でのポイントをご紹介します。

  • 薬機法の基礎知識の学習 
    ・法令の概要: 薬機法の目的、重要性、適用範囲
    ・主要な規制内容: 医薬品や医療機器の製造・販売に関する基本的なルール
  • 違反事例の学習
    ・具体的なケーススタディ: 過去の違反事例を分析し、どのような点が問題だったのか
  • 定期的な見直し
    ・研修の定期開催: 年に数回の研修を行い、法改正や新しい情報を共有
    ・内部監査の実施: 遵守状況を定期的に確認し、改善点を洗い出す

広告作成は2人体制で行う

複数名での広告作成も、薬機法を遵守する上で有効な手段の1つです。
以下のような具体的なポイントの考慮を推奨します。

  • 役割分担の明確化
    ・専門知識を持つ担当者: 1人は薬機法や広告規制に関する知識を持つ担当者とし、法令遵守の観点から内容を確認
    ・クリエイティブ担当者: もう1人は広告のデザインやメッセージを担当し、視覚的な要素を作成
  • 相互チェックの実施
    ・内容確認: 広告が法令に違反していないか、相互にチェックを行う
    ・フィードバックの重視: 互いに意見を出し合い、問題点を指摘し合うことで、より高品質な広告を作成
  • 文書化されたプロセスの導入
    ・チェックリストの作成: 薬機法に基づくチェックリストを作成し、広告作成時に必ず確認する
    ・承認プロセスの設置: 広告が完成した後、管理者やコンプライアンス担当者の承認を得るプロセスを設ける

広告チェックサービスを活用する

自社でのチェック作業を外部に委託することで、内部リソースを他の重要な業務に集中させることができるほか、専門家の活用により、法令順守の強化に繋がります。

  • 専門知識の活用
    ・薬機法や関連法規に精通した専門家が広告内容をチェックし、法令に違反していないかを確認することにより、法令違反のリスクが低減する
  • 迅速なフィードバック
    ・広告制作の段階で専門家にチェックしてもらうことで、早期の修正が可能
  • 定期的な監査
    ・広告チェックサービスを定期的に利用することで、継続的に広告内容を監査し、法令遵守を維持することができる
  • 複数の視点からのチェック
    ・異なる専門家の視点から広告を評価してもらうことで、より広範な視点からの問題発見が可能

まとめ

今回は、オーラルケアの1つである歯磨き粉について、実際に使える表現、注意が必要な表現を併せてご紹介しました。

化粧品か医薬品部外品、どちらに該当するかによって標榜可能な効能効果が異なるため、広告作成をするにあたって、薬機法の知識は必要不可欠です。

薬機法を遵守するための対策についてもご紹介していますので、是非ご参考にしてください。

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