薬機法広告ラボ

納豆で「高血圧予防」は謳える?明らか食品の医薬品的な効能効果の標榜について解説

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日本人の食生活に大変身近な「納豆」。苦手な方もいらっしゃるとは思いますが、大好きで毎日欠かさずに召し上がっているという方も多いのではないでしょうか。

美味しいだけでなく、高血圧予防に血液サラサラ、腸活、免疫、ダイエット等、
様々な効果があるといわれています。

ではそんな「納豆」の広告として「高血圧予防」効果があると謳うことはできるのでしょうか。

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明らか食品は医薬品的な効能効果を謳える

まず「納豆」というのは“明らか食品”に分類されます。

明らか食品とは『野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物
と定義されており、通常『人が医薬品としての目的を有するものであると認識しない』食品のことを指しています。

明らか食品とされるものは例え医薬品的な効能効果を標ぼうしても、その形から医薬品とは見なされない・・・とされ、原則、薬事は関係無いものと判断されます。但し、薬機法は関係無くても景品表示法や健康増進法は対象となり、根拠の無い虚偽誇大な事は謳えません

従って、“明らか食品”であって且つ根拠のある“事実”なのであれば、医薬品的な効能効果を述べることは可能・・・という事になります。

無承認無許可医薬品の監視指導について

無承認無許可医薬品の監視指導について

昭和62年9月22日 薬監第88号
各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局監視指導課長通知
(最新 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)

「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」

II 基本的考え方と判定方法による判定について
<通知本文抜粋>
人が経口的に服用する物が、薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かは、その物の成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的・効能効果・用法用量並びに販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断して、通常人が同法同条同項第2号又は第3号に掲げる目的を有するものであるという認識を得るかどうかによって判断すべきものである。

したがって、医薬品に該当するか否かは、個々の製品について、上記の要素を総合的に検討のうえ判定すべきものであり、その判定の方法は、I の「医薬品の判定における各要素の解釈」に基づいて、その物の成分本質(原材料)を分類し、効能効果、形状及び用法用量が医薬品的であるかどうかを検討のうえ、IIの「判定方法」により行うものとする。ただし、次の物は判定方法による判定によることなく、当然に、医薬品に該当しない。

1 野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と
  認識される物

~中略~

4 「明らかに食品と認識される物」の解釈
(1) 通常の食生活において、その物の食品としての本質を経験的に十分認識していて、その外観、形状等より容易に食品であることがわかるものは、その物の食品としての本質に誤認を与えることはないため、通常人がその物を医薬品と誤認するおそれはない。したがって、医薬品の目的を有するものであるという認識を与えるおそれのないこのような物は、医薬品に該当しないことは明らかであり、その成分本質(原材料)、形状、効能効果、用法用量について個々に検討し、後述する「判定方法」に従って判定するまでもない。通知本文中のただし書はこの旨を明記したものである。

(2) その物がここでいう「明らかに食品と認識される物」に該当するか否かは、食生活の実態を十分勘案し、外観、形状及び成分本質(原材料)からみて社会通念上容易に食品と認識されるか否かにより判断するものである。通常人が社会通念上容易に通常の食生活における食品と認識するものとは、例えば次のような物が考えられる。

  1. 野菜、果物、卵、食肉、海藻、魚介等の生鮮食料品及びその乾燥品
     (ただし、乾燥品のうち医薬品としても使用される物を除く。)
  2. 加工食品
    (例)豆腐、納豆、味噌、ヨーグルト、牛乳、チーズ、バター、パン、うどん、そば、緑茶、紅茶、ジャスミン茶、インスタントコーヒー、ハム、かまぼこ、コンニャク、清酒、ビール、まんじゅう、ケーキ 等
  3. 1、2の調理品(惣菜、漬け物、缶詰、冷凍食品等)
  4. 調味料
    (例) 醤油、ソース 等

(3) なお、「明らかに食品と認識される物」について行われる標ぼうにあっては、虚偽誇大な表現については不当景品類及び不当表示防止法第4条第1に、また、場合によっては栄養改善法第12条等他法令に抵触するおそれがあるので、栄養・食品担当部局等関係部局に照会するよう指導すること。


厚生労働省「無承認無許可医薬品の監視指導について」

「納豆」で高血圧の予防を謳うことは難しい

上記をみると、明らか食品の範囲は広い印象を受けます。また、「納豆」で“高血圧の予防”は言えそうなのでは?…という気持ちにもなってきます。

しかし、残念なことにそうはいきません。実際の判断として、厚労省や都道府県の薬事法担当部署等行政機関は、

『野菜、果物、調理品等』とは、“野菜、果物などの生鮮食品や、生鮮食品をその場で調理した料理”を指す。且つ『加工食品』においては加工過程において何が添加されるかわからないため、明らか食品と判断できない場合も多い。

…としています。

納豆は「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」上確かに明らか食品に分類されますが、加工過程において何が添加されるかわからない加工食品であり、実際の広告運用上で、明らか食品だから薬事関係ない=事実であれば何を言っても良いと判断してしまうのはリスクがあると言わざるを得ません。

機能性表示食品でも高血圧の予防を謳うのは難しい

また、現在においては機能性表示食品というジャンルが確立され、機能性を謳うにはエビデンスを用意し『機能性表示食品として届出をする』という考え方が主流です。機能性表示食品だったとしても“高血圧の予防”は機能性として届出ができる範囲を超えますので言えないと判断しておいた方が無難でしょう。(機能性の範囲として「血圧が高めの方の血圧を下げる」は可能)

今では“明らか食品”であることは免罪符にならない…と言わざるを得ませんが、一方で、“明らか食品”というジャンルが廃止された訳ではありませんので、ひとつのご参考にしていただければと思います。

「明らか食品」とは外観から医薬品と認識されない食品を指しますが、納豆のような加工食品では薬機法の対象外となるとは限りません。

特に高血圧の予防を謳うことは難しく、機能性表示食品でも「高血圧の予防」は認められていません。また、根拠のある事実であっても、景品表示法や健康増進法に基づいた表現が必要です。

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明らか食品であるかないかの判断ポイント

今や役立たないかもしれませんが、明らか食品であるかないかの判断ポイントをまとめてみます。

 ●有効成分が添加されている。
   例)コラーゲンが添加されたゼリー飲料、キシリトール入りガム 等

 ●一般性がない。
   例)べにふうき茶 等

 ●主目的が食にない。
   例)口臭予防用キャンディー 等

 ●乾燥品であって、医薬品として使用される物。
   例)陳皮、大棗 等

これらは明らか食品には該当しません。

従って、

お茶(煎茶、抹茶)
 → 一般性があり、明らか食品と判断できる。

お茶の葉入りふりかけ
 → 明らか食品ではない。
 ※茶葉を直接食べることは通常の食法と異なり一般性がない。

こんぶ(見た目にこんぶと分かる形状)
 → 一般性があり、明らか食品と判断できる。

こんぶ(粉末、抽出物)
 → 明らか食品ではない。
 ※昔から使用されているものと見た目が異なり一般性がない。

です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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