薬機法広告ラボ

【そのまま使える表現付き!】エナジードリンクの広告における薬機法ルールを解説

印象に残るエナジードリンクの広告といえば、最近の代表作は「翼をさずける」ではないでしょうか。過去には「24時間たたかえますか」のキャッチフレーズもありましたね。

どちらも「飲むと元気になれそうな飲み物」ではありますが、似たような商品に見えても実は商品の区分が異なり、それに伴い表現できる範囲も異なります。(例に挙げた2商品も実は区分が違います。)

今回は、健康食品の「エナジードリンク」の具体的な表現や、薬機法のルールを解説していきます。

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薬機法とは

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。

この法律は、医薬品等(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再⽣医療等製品)の品質と有効性及び安全性を確保するため、これらの製造・表⽰・販売・流通・広告に関する事項が細かく定められています。

薬機法の目的

薬機法の目的は、医薬品等の品質や有効性・安全性を確保すること、国民の健康を守り公衆衛生の向上を図ることにあります。有効性や安全性を損なわないために、製造・表示・販売などに関してそれぞれに基準が設けられています。

また、不正な商品の流通等による健康被害を未然に防ぐという役割も果たします。さらに、製品の適正な使用を推進するための情報提供と監視体制も整備されています。これにより、私たちが安心して医薬品等を使用することができるのです。

あくまでも薬機法の中心は医薬品等になりますが、エナジードリンクという商品が薬機法にどう関係してくるかは後程具体的にご説明いたします。

薬機法規制の対象となるもの

冒頭でご説明したとおり、薬機法の規制対象となる「医薬品等」とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品を指します。よって、健康食品は基本的に薬機法の規制対象ではありませんが、薬機法と関係しない訳ではありません。

薬機法は、対象の商品を規制するという側面と、対象外のものが薬機法で規制されている範囲に入り込もうとすることを規制するという側面があります。つまり、健康食品であるにも関わらず、あたかも医薬品であるかのような標ぼうをするようなことは禁止されるということになります。

エナジードリンクは間接的に薬機法の広告規制の対象となる

「エナジードリンク」と聞いてどういった商品を想像されるでしょうか。

明確な定義はありませんが、全国清涼飲料連合会では「一般的には、カフェインだけでなく、エネルギー源としての糖類または甘味料、栄養成分としてのビタミンなども含まれている飲料のことを、「エナジードリンク」と呼んでいる国が多いようです。」と説明されています。

今回ご説明する「エナジードリンク」は同様の定義のものを指し、「滋養強壮」「疲労回復」を標ぼうする医薬品のドリンクは含みません。

では、「エナジードリンク」は薬機法の対象となるのでしょうか。

健康食品に該当する

薬機法の規制対象になる「医薬品等」とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品です。

上記でお示ししたような定義の「エナジードリンク」は、健康食品に該当するため、基本的には薬機法の規制対象ではありませんが、薬機法が全く関係しないという訳ではありません

健康食品における薬機法のルール

では、健康食品であるエナジードリンクに薬機法がどのように関係してくるのでしょうか。

前項でご説明したように、薬機法は対象となる商品の規制にとどまらず、対象外の商品がその規制範囲に該当するとみなされる行為も制約しています。例えば、食品でありながら医薬品であるかのような標ぼうをする広告は規制の対象となります。

事業者は通常、自社商品の区分を十分認識しており、医薬品と偽って販売する意図はないと考えられます。しかし、表現が過度に誇張され、消費者が当該商品を医薬品と誤解する状況が生じた場合、その商品は無許可で販売された医薬品とみなされ、薬機法違反に問われる可能性が出てくるのです。

参考元:東京都保健医療局

【そのまま使用OK!】エナジードリンクの広告に使える表現一覧

エナジードリンクの広告では、医薬品のような効能を標ぼうすることは薬機法上認められていません。

滋養強壮」や「疲労回復」のような言葉をそのまま使用しなかったとしても、そのような効果を暗示する表現は規制の対象となるため注意が必要です。ここでは、薬機法の範囲内で使用できる適切な表現例をいくつかご紹介いたします。

No表現例訴求したい効果
1アクティブに過ごしたい方に滋養強壮
2日々の活力のために大切な成分を補給する滋養強壮
3エネルギッシュな毎日を実感滋養強壮
4●●(成分)がエネルギーとなりパフォーマンスをサポートします滋養強壮・集中力
5ここぞという時、気合を入れる1本集中力・リフレッシュ
6午後からの仕事をもうひと頑張りするために集中力
7毎日のやる気のスイッチに集中力・覚醒
8朝の1本で1日をロケットスタート覚醒
9ストレス社会で頑張る現代人にストレス軽減
10頑張った1日の終わりに。カフェイン不使用だからおやすみ前にも。疲労回復

ここでは一般的な広告表現について紹介させていただきました。

薬事法広告研究所の薬事コンサルティングサービスでは、そのエナジードリンクならではの強みを活かした広告表現を提案させていただきますので、もし自社商品の強みを活かした表現を作りたいという方は、まずはお悩みだけでもお聞かせください。

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よくあるNG表現

次に、よくあるNG表現をご紹介します。うっかり医薬品のような表現を使ってしまうことがないよう十分注意しましょう。

【NG表現①】「効果」表現

エナジードリンクに限らず、いわゆる健康食品を摂取することで身体に何らかの「効果」があるような標ぼうはできません「効能」「効き目」などの表現も同様です。

「疲労に効果があります」のように、具体的な効果を挙げる場合に限らず、「当商品の効果を感じてみてください」のような表現もリスクがあります。あくまでも健康維持、栄養補給の範囲で表現を行うようにしましょう。

【NG表現②】疲労回復

「このドリンクで一日の疲れがスッキリ取れる!」「疲れを感じた時にこの1本」など、疲労回復を想起させるような表現は、医薬品的効果の暗示となります

毎日の食事・睡眠・運動+αの健康習慣に!」や「活力をチャージしたい時に」など、間接的な表現に留めましょう。

【NG表現③】滋養強壮

「滋養強壮」は医薬品のドリンクの効果としてよく使われるものなので、健康食品でうっかり表現しないように気を付けましょう。「1日1本飲めば力がみなぎる」「ぐったり感とさよなら」「体力が朝から夜まで持続する」のような表現は医薬品的効果の暗示となります。

あなたの元気な毎日を応援します」「エネルギッシュなあなたに」のように、体への直接的な作用を想起させない表現にしましょう。加えて、「1日1本」に関しては、用法・用量を指定する医薬品的な表現と捉えられる恐れがあるため、「目安(量)」という説明を付記する必要があります。

【NG表現④】覚醒効果(眠気・集中力)

「眠気を振り払いたい時に」「集中力を最大化!」など、覚醒効果や集中力向上を直接的に謳うと、薬理作用を連想させるためNGです。

冴えた毎日を送りたい方」などの抽象的な表現であれば問題ありません。また、飲むことによって「気分を切り替える」ような表現も可能です。

カフェインを含むドリンクであれば、具体的な効果を謳わずとも、成分の一般的なイメージから覚醒効果を想起させることができると思われます。

【NG表現⑤】ストレス軽減

「ストレス解消に」「イライラした時に」「1日の終わりに飲むことで気持ちをほぐしてリラックス」などのストレス軽減やリラックス効果の標ぼうは、精神に作用する医薬品的表現とみなされる恐れがあります

忙しい毎日を頑張るあなたに」「1日の終わりの安らぎタイムに」のような表現であれば問題ありません。

薬機法に違反してしまった場合の罰則

ここまでに、薬機法と健康食品との関わりと、具体的な表現例をご紹介しましたが、もし薬機法に違反した場合にどのような罰則があるのでしょうか。

薬機法違反となる行為を行った場合、刑事罰や行政処分等の直接的なものに限らず、報道による企業イメージの低下など、企業に大きな影響を与えます。

ここでは、「行政指導」「措置命令」「課徴金納付命令」についてご説明いたします。

行政指導

「行政指導」とは、行政機関が行う処置のことで、違反行為の是正を命じるものです。是正をすれば終わりというものではなく、違反内容や是正措置に関する報告書の提出を求められることもあります。

この段階では命令や罰則は伴いませんが、指導を無視した場合は、措置命令などのより厳しい対応に進む可能性があります。

措置命令

「措置命令」も行政機関が行うもので、薬機法第66条第1項(誇大広告の禁止)および第68条(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)の違反が確認され、違反行為の是正が必要とされた場合に発出されます

以下の3つの命令が下されます。

  1. 行為の中止命令(違反行為の即時中止)
  2. 再発防止措置(再発防止のための必要な措置の実施)
  3. 公示命令(公衆衛生上の危険を防止するための公示)

課徴金納付命令

課徴金納付命令は第66条第1項(誇大広告等の禁止)に違反する行為に科されます

対象期間に取引された医薬品等の対価の合計額の4.5%を納付することが求められます(最低額は225万円)。誇大広告については景表法でも規制されているため、違反した場合は薬機法・景表法両方の課徴金が重複して科せられる場合があります。(この場合対価合計額の3%が減額。)

薬機法に違反しないための対策

薬機法に違反した場合に、企業に大きなダメージを与えるということが十分にご理解いただけたのではないでしょうか。

ここからは、薬機法に違反しないための具体的な対策をいくつかご紹介いたします。

薬機法に関する知識を深める

薬機法違反を防ぐためには、社内研修を通じた社員教育が重要です。

ただし、全社員が薬機法を深く理解することは難しいと思われますので、レベルに応じた研修を行うのが重要です。例えば、新人研修では薬機法の基本概念や守るべきポイントをわかりやすく説明し、法令順守の重要性を浸透させる。

一方、商品開発や広告担当など専門部門への研修では、具体的な実務に即した表現方法や過去の違反事例を共有し、業務に活かせる深い知識を提供する、というようなことです。これにより、全社的な基礎理解と部門ごとの実務対応力を両立させ、違反リスクを効果的に低減します。

広告作成は2人体制で行う

一人で作業を進めた場合、想定外のミスが生じるリスクが高まるというのは容易に想像できることだと思います。

こうしたリスクを低減するため、ダブルチェックや複数部署による確認体制を構築することが重要です。複数名でのチェックは、ヒューマンエラーや軽微な見落としを減らすだけでなく、制作物の完成度を向上させる効果があります。

ただし、過剰な人数が関与すると「何人も見ているから大丈夫」という気のゆるみにつながる恐れもあるため、各人が主体的に責任を持てる仕組みづくりが不可欠です。

広告チェックサービスを活用する

広告には、今回ご紹介した薬機法のみならず、景品表示法、健康増進法、特定商取引法など、様々な法律が関係しており、当然これらの法律も遵守したものを制作しなければなりません。

これらの法律を、関係社員が全て理解した上で適切な広告を制作するのは困難であり、特に広告の出稿数が増加するにつれて社内だけでは対応が限界に達する場合もあります。

そんな時は、専門サービスにチェック業務を外注することが有効です。広告表現を効率的かつ法令順守の観点から精査できるだけでなく、最新の法改正の情報なども入手することができるでしょう。

まとめ

今回は、薬機法の基礎知識と、エナジードリンクに関する具体的な広告表現をご紹介しました。

薬機法の概要を理解していても、実際の広告表現を作成する際には適切な表現に迷うことが多いのではないでしょうか。本解説が、エナジードリンク広告の制作における参考となれば幸いです。

法律を正確に理解することはもちろん、誤解を与えず魅力を引き出す表現を工夫することが重要です。法令を遵守しつつ、消費者にとって信頼できる魅力的な広告を目指しましょう!

この記事から学んでおきたい関連知識

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