Contents
- 1 医薬部外品における「シワ改善」の広告表現に関する留意点
- 1.1 ①承認を受けた効能効果通りに正しく記載すること。
- 1.2 ②シワグレード等、シワ効能評価試験に関する説明は、効能効果の保証に該当し不可。
- 1.3 ③シワは加齢により生じるため、年齢によって生じたシワの改善表現は認められる。 しかし、シワ改善することによる若返り、加齢防止等は不可。
- 1.4 ④「改善」の程度は事実の範囲※の表現に留めること。※抗シワ効能評価ガイドラインの臨床試験で確認された程度「深いシワ」までの改善表現は認められない。
- 1.5 ⑤シワ改善の有効成分における作用機序を説明する場合には、承認申請資料に記載の範囲をこえないこと。また、作用機序が効能効果として承認を受けたものと誤認されないように留意すること。
- 2 まとめ
医薬部外品における「シワ改善」の広告表現に関する留意点
今回日本化粧品工業会より発出された留意点は以下の5点になります。
- 承認を受けた効能効果通りに正しく記載すること。
- シワグレード等、シワ効能評価試験に関する説明は、効能効果の保証に該当し不可。
- シワは加齢により生じるため、年齢によって生じたシワの改善表現は認められる。しかし、シワ改善することによる若返り、加齢防止等は不可。
- 「改善」の程度は事実の範囲※の表現に留めること。
※抗シワ効能評価ガイドラインの臨床試験で確認された程度
「深いシワ」までの改善表現は認められない。 - シワ改善の有効成分における作用機序を説明する場合には、承認申請資料に記載の範囲をこえないこと。また、作用機序が効能効果として承認を受けたものと誤認されないように留意すること。
ここでは、この5つのポイントについて解説していきます。
①承認を受けた効能効果通りに正しく記載すること。
医薬部外品として承認を受けた「シワ改善」の効能効果は、その範囲内で広告表現を行うことが必須です。
「シワに」「気になるシワに」などの表現は、シワに対する改善効果であることが不明瞭となるため適切ではないとされています。あくまでも「シワを改善する」であり、「シワ予防」や「シワ解消」は不可となります。
- 「増えるシワ悩みに」
- 「しわ”ピーン”と」
- 「もうシワに悩まない」
- 「シミシワ革命」
これらの表現は「シワ改善」の効能範囲を超えているため不適切です。あくまで「シワを改善する」効能である旨を明確に示しましょう。
②シワグレード等、シワ効能評価試験に関する説明は、効能効果の保証に該当し不可。
広告表現において、シワ改善の効果を保証するかのような試験結果の使用には注意が必要です。「シワグレード」や「効能評価試験に基づいた」などの表現は、保証表現となり不適切とされています。
- 「シワに効く※」(注釈に「抗シワ効能評価試験ガイドラインに基づくグレード3(明らかな浅いシワ)~5(やや深いシワ)のこと」と記載)
- 「シワ改善※」(注釈に「日本香粧品学会の基準によるシワグレード3~5のこと」と記載)
試験に基づく具体的なシワのグレード説明は、効能の保証とみなされるため避けましょう。
③シワは加齢により生じるため、年齢によって生じたシワの改善表現は認められる。
しかし、シワ改善することによる若返り、加齢防止等は不可。
シワ改善の範囲を超えた、シワの解消などのアンチエイジング効果があるかのような表現をしている広告も見受けられます。医薬部外品で承認されているシワ改善の範囲を逸脱しないように注意が必要です。
以下の具体例については過去にNGが出た事例ではありませんが、化粧品等の適正広告ガイドラインですでに示されている「しわ取り効果等を標ぼうする化粧品の広告等の注意点」の「(2)素肌の若返り効果、老化防止効果について」に記載されている表現が参考になると思われます。
下記の例は、こちらの内容を多少アレンジしたものです。
- シワが改善すれば若返ります。
- あきらめないで下さい。若さは再び戻ります!
- シワ改善効果が認められたこのクリームであなたも10才は若返ってください。
年齢によるシワ改善を示す表現であれば問題ありませんが、特定のシワや深いシワの改善を強調しないようにしましょう。
④「改善」の程度は事実の範囲※の表現に留めること。
※抗シワ効能評価ガイドラインの臨床試験で確認された程度
「深いシワ」までの改善表現は認められない。
あくまでも目安は抗シワ効能評価ガイドラインの臨床試験で確認された程度(グレード3からグレード5)です。そのため、「加齢ジワまで改善」のような表現は特定のシワに対するものとして不可とされています。
- 加齢ジワまで改善
- 今まであきらめていたシワに効く
- (動画広告)深いシワが改善するようなCG表現
- あらゆる部分のあらゆるシワに
- しぼみ口のシワ改善
「深いシワ」という言葉も、シワグレード3(浅いシワ)からグレード5(やや深いシワ)までの範囲に限定し、それ以上は使用しないようにしましょう。
⑤シワ改善の有効成分における作用機序を説明する場合には、承認申請資料に記載の範囲をこえないこと。また、作用機序が効能効果として承認を受けたものと誤認されないように留意すること。
医薬部外品の作用機序を説明する場合には、医学、薬学上認められており、かつ、その医薬部外品の承認されている効能効果の範囲をこえないこととされています。
また作用機序はあくまでも効果がもたらされるためのメカニズムであって承認された効能効果ではありません。
例えば抗シワの有効成分の作用機序が「ヒアルロン酸の産生促進」だったとしても「有効成分○○がヒアルロン酸を産生促進します。」とはいえないということです。これを表記してしまうと、承認された効果が「ヒアルロン酸を産生促進」だと誤解を招いてしまうためです。
また、特筆すべきこととして「ほうれい線」という表記には注意が必要です。例えば顔のイラストがあり「眉間」「目元」「口元」のシワと並列で「ほうれい線」という表記があるとシワとは異なる「ほうれい線」が改善されるかのような表現として不適切と判断された事例があります。
また、全体のバランスも重要です。「シワを改善」としつつも深いシワのある顔のイラストが添えられていると特定のシワに効果があるかのような表現であり、また改善の程度が過剰ということにも繋がります。
「シワの改善」は消費者の関心が高い効果となりますので、表現が過剰にならないよう気を付けましょう。
まとめ
「シワ改善」は多くの消費者が求める効果ですが、誇大な表現や効果の保証を示唆するような広告は薬機法違反のリスクを伴います。これらの5つの留意点を守りつつ、正しい表現で「シワ改善」の効果を伝えるよう心がけましょう。
この記事から学んでおきたい関連知識
こんにちは。薬事法広告研究所です。
2024年8月30日に日本化粧品工業会より、『医薬部外品における「シワ改善」の広告表現に関する留意点』が発出されました。
日本化粧品工業会よりこのような「自主基準・ガイドライン」という形で発出されるのは2020年6月15日の「化粧品等の適正広告ガイドライン」(第2版)から4年ぶりになります。
そこで、ここではどのような点に留意すべきなのかポイント毎にまとめていきます。
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