ライザップ「ステマ広告」、消費者庁が措置命令…低価格ジム「チョコザップ」巡り
個人の感想を装って商品を宣伝するステルスマーケティング(ステマ)をしたなどとして、消費者庁は9日、スポーツジム運営会社「RIZAP(ライザップ)」(東京都新宿区)に対し、景品表示法違反で再発防止を求める措置命令を出したと発表した。命令は8日付。
発表によると、同社は今年1~3月、同社が運営する低価格ジム「チョコザップ」について、インスタグラムによる宣伝を依頼していたインフルエンサー15人の投稿を自社サイトに転載。その際、「広告」や「PR」などの記載をせず、閲覧者に第三者の体験談と誤認させる表示をした。
今年2~6月には、チョコザップが提供する「セルフ脱毛」「セルフエステ」など8種類のサービスについて、「24時間使い放題」など、いつでも自由に利用できると誤認させる表示を自社サイトに載せたり、インフルエンサーにインスタへ投稿させたりした。実際は1日に5~16時間しか利用できない状態だった。
2022年7月にサービスを開始したチョコザップは、月額3278円(税込み)の低価格が話題を呼び、全都道府県に進出している。今年5月時点の会員数は約120万人で、店舗数は約1500店。ライザップの持ち株会社は取材に「自社サイトへの掲載ならば、広告表記は不要という認識だった。今後は再発防止を徹底する」と答えた。
引用元:読売新聞オンライン
ステマ広告にならないための注意点
今回のニュースのように、ステマ広告は消費者に対する信頼を損ねるだけでなく、景品表示法違反として法的な制裁を受けるリスクもあります。そこで、以下では、ステマ規制に抵触しないために、事業者が注意すべきポイントを解説します。
①広告表示の明示
インフルエンサーに商品やサービスの宣伝を依頼する場合、その投稿が広告であることを明確に示す必要があります。具体的には、投稿に「PR」「広告」といったキーワードを目立つ場所に掲載し、消費者がその内容を第三者の個人的な意見や体験談と誤解しないようにします。
また、表示が小さすぎたり、目立たない場所に記載されると、消費者に伝わりにくくなるため、目に留まりやすい位置に配置することが重要です。
②投稿内容の事実確認
インフルエンサーに依頼する投稿内容が、商品やサービスの実際の仕様や効果と一致しているかを事前に確認することが重要です。誤解を招くような誇大広告や、事実と異なる情報を発信すると、消費者を欺くことになり、景表法違反となる可能性があります。
そのため、投稿内容は、企業が事前にチェックし、法令や自社ポリシーに基づいて適切かどうかを確認する体制を整えましょう。
③自社サイトでの広告表示
ステマ規制の対象にならない「表示」の中に『事業者自身のWEBサイト(期間限定のものも含む)における表示を行う場合』が含まれています。そのため、今回のライザップの『自社サイトへの掲載ならば、広告表記は不要という認識だった』というのは間違いとは言い切れません。
ただ、事業者のWEBサイトであっても、WEBサイトを構成する特定のページにおいて、当該事業者の表示ではないと一般消費者に誤認されるおそれがあるような場合は、事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならないというルールがあります。
例えば、媒体上で、専門家や一般消費者等の第三者の客観的な意見として表示をしているように見えるものの、実際には、事業者が当該第三者に依頼・指示をして特定の内容を表示させた場合などがあります。
そして、今回のライザップの措置命令は、掲載していた内容が「宣伝を依頼していたインフルエンサー」の内容で『広告』という表記がなかったためアウトという判断であったと考えます。
そのため、インフルエンサーの投稿を自社サイトに転載する場合でも、それが広告であることを明示する必要があります。「自社サイトだから広告表示は不要」という認識は危険です。消費者に誤解を与えないために、広告であることをしっかりと伝えましょう。
④内部チェック体制の強化
ステマのリスクを回避するためには、企業内部でのチェック体制の強化が不可欠です。法令順守を徹底するための教育や、広告表示のチェックプロセスを構築し、違反リスクを最小限に抑える努力が求められます。また、自社内でのチェックが難しい場合、外部のチェックサービスを利用するのもおすすめです。
このニュースから学んでおきたい知識
このニュースでは、ライザップが運営する「チョコザップ」に関する広告が問題となっています。
具体的には、インフルエンサーの投稿を自社サイトに転載する際に「広告」や「PR」といった明示がなく、消費者に第三者の体験談と誤認させる表示をしたことが景品表示法違反とされました。(ステマ広告)
また、24時間利用可能と誤認させる表示が実際のサービス内容と異なっていた点も問題とされています。
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