薬機法・景表法ニュース

「株式会社HappyLifeBio」が特商法違反で行政処分 | 事業者が注意すべき点について【2024年10月22日】

通信販売業者【株式会社HappyLifeBio】に対する行政処分について

消費者庁は10月17日、美容液などを販売するEC事業者HappyLifeBioに対し、特定商取引法に基づき9か月間の業務停止を命令、あわせて藤井一良社長に9か月間の業務禁止を命じた。消費者庁はHappyLifeBioの誇大広告、解約に関する表示義務違反を認定し行政処分した。

HappyLifeBioは美容液「ハダキララ」の広告で、「シミが99.9%消える」「シミが完全に消滅!」「どんな人でも3日でシミが消える」などと表示。消費者庁は特商法に基づき表示の裏付けとなる根拠資料の提出を求めた。HappyLifeBioから資料は提出されたが根拠と認められるものではなかったという。

解約に関する表示義務違反は、申し込みを受け付けるチャットボット上で表示していた最終確認での解約手続きに関する内容が解約条件の一部であったとし、違反認定した。

最終確認画面では、商品の分量や販売価格、支払い時期・支払い方法、引き渡し時期、申し込み期間、申し込みの撤回・解除に関する事項をわかりやすく表示することが義務付けられている。申し込みの撤回・解除に関する事項では、その条件、方法、効果などについて表示する必要がある。

チャットボット上では定期購入申込みを受けた際に解約の条件について、2回目注文を休止・停止は初回の商品発送日の13日目からマイページ・お問い合わせフォーム・メール・LINE・電話にて受け付け、次回出荷準備予定日の10日前までに連絡が必要と記載。また、解約手続きをするにはたまったポイントをすべて消化する必要があるとし、ポイントを使わずに解約したい場合はポイント消滅請求によってポイントを消滅させることができると表示していた。

ただ、チャットボットで表示する解約条件は一部であり、チャットボットには解約に関する電話番号を記載していなかったほか、「ご利用規約」ページとは異なる条件を記載していたという。

消費者庁によると実際に電話で解約する場合は、次回出荷予定日の10日前までに電話をした上で、自動音声で案内される別の電話番号に改めて電話をかけ直さなければならなかった。また、自動音声により案内される「休止、解約に関するお問い合わせ」ではなく、「その他のお問い合わせ」の番号を押す必要があった。さらに、自動音声に従って顧客が登録している電話番号入力で解約の仮受付とし、HappyLifeBioからの「定期コースの停止可否の結果」のメールを待つという煩雑な手続きを行う必要が生じる場合があったという。

ポイント消滅請求についても、①マイページ②休止・停止フォーム③解約方法の案内――というページ遷移を経て、案内ページをスクロールしていくと表示されるリンクを見つけた上でポイント消滅請求を行う必要があった。

引用元:impress BUSINESSMEDIA

2024年10月17日、消費者庁は通信販売業者の株式会社HappyLifeBioに対し、9か月間の業務停止命令と社長に対する業務禁止命令を下しました。

これは、同社が美容液「ハダキララ」の広告で「シミが99.9%消える」などといった誇大な表現を使用し、消費者を誤解させたことや、解約手続きにおいて不透明で煩雑な対応が見られたためです。こうした問題は、消費者に対する信頼を損なうだけでなく、企業の法的リスクを高めます。

本記事では、今回の行政処分の詳細を振り返りつつ、事業者が今後どのように透明性を高め、適切な対応を行うべきかを解説します。

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行政処分の背景

まずは、今回の行政処分の背景について説明します。

2024年10月17日、消費者庁は株式会社HappyLifeBioに対して、特定商取引法に基づき9か月間の業務停止命令を下しました。また、同社の社長である藤井一良氏に対しても、同期間中の業務禁止が命じられました。この行政処分の発端は、同社が販売する美容液「ハダキララ」の広告において「シミが99.9%消える」「完全にシミが消滅する」など、根拠のない誇大表現を使っていたことです。

消費者庁は、特定商取引法に基づき、広告に示された効果に関する根拠資料の提出を求めましたが、HappyLifeBioからの提出資料は、消費者を納得させるものではありませんでした。これにより、広告表示が虚偽であると判断され、法的に問題があると認定されました。

また、問題は広告だけに留まらず、解約手続きにも不備がありました。特に、チャットボットを通じた手続き表示が不十分であったこと、また手続きが煩雑で消費者に不利益を与える構造になっていた点が、解約に関する表示義務違反として指摘されました。こうした背景から、HappyLifeBioには厳しい処分が科されることになったのです。

今回のニュースの問題点

次に、今回のニュースの問題点について具体的に解説します。

①誇大広告

HappyLifeBioが販売していた美容液「ハダキララ」の広告には、「シミが99.9%消える」「どんな人でも3日でシミが消える」といった非常に魅力的な効果が謳われていました。しかし、これらの表現には根拠がなく、消費者を誤解させるものでした。広告が一方的に誇大な効果を主張する場合、それが科学的に証明されていない限り、消費者に対する虚偽表示とみなされるリスクが高まります。

消費者庁は、広告の表示が適切かどうかを確認するために、根拠資料の提出を求めましたが、HappyLifeBioが提出した資料はその内容を裏付けるものではありませんでした。この結果、広告に記載された内容は虚偽表示であり、法的に問題があると判断されました。

誇大広告が企業にもたらすリスクは大きく、以下のような点が挙げられます。

  • 消費者の信頼を損なう: 誇大な広告表現は一時的に売上を伸ばす可能性があるものの、効果が実際とは異なる場合、消費者は裏切られたと感じ、企業への信頼を失います。今回のケースでも、HappyLifeBioの製品に対する信頼は大きく損なわれました。
  • 法的リスクの増大: 特定商取引法や景品表示法など、広告に関する規制を違反した場合、企業は行政からの処分や罰金を受ける可能性があります。今回の業務停止命令のような処分は、企業活動に直接的な影響を与えます。
  • 企業の社会的責任の低下: 誇大広告は、企業の社会的責任(CSR)にも反します。企業は消費者に対して誠実な情報提供を行う義務がありますが、虚偽の情報を流すことで、社会全体からの信頼も失われます。

誇大広告は短期的な利益を追求する手段に見えるかもしれませんが、長期的な視点では大きなリスクを伴います。企業は、広告の内容が適切であり、消費者に誤解を与えないよう、透明性を確保することが重要です。

②解約手続きに関する不備

HappyLifeBioには、広告の誇大表示以外にも、解約手続きに関する不備が指摘されました。特に、定期購入の解約に際して、消費者がスムーズに手続きを行うことが困難な状況が問題視されました。解約に関する手続きがわかりにくく、手間がかかることで、消費者にとって大きな負担となっていたのです。

消費者庁が問題視した点は、主に以下の3つです。

  • 解約条件の不完全な表示
    HappyLifeBioでは、チャットボットを使って解約手続きを案内していましたが、解約の条件がすべて表示されていなかったことが指摘されました。たとえば、チャットボット上には解約に必要な電話番号が記載されておらず、また「ご利用規約」ページに書かれている条件とは異なる内容が表示されていました。こうした不完全な情報は、消費者に混乱を引き起こし、適切な判断ができない原因となります。
  • 複雑な手続き
    HappyLifeBioでは、電話で解約を希望する場合、次回の出荷予定日の10日前までに電話をかけ、その後自動音声で案内される別の番号にかけ直す必要がありました。さらに、自動音声の案内に従い、解約を完了するために「その他のお問い合わせ」の番号を押すなど、複雑な操作が必要でした。こうした多段階の手続きは、消費者に対して不要な負担を強いるものです。
  • ポイント消滅請求の手続き
    解約手続きに際しては、たまったポイントを全て使い切る必要があり、ポイントを使用しないで解約したい場合は、ポイント消滅請求を行わなければなりませんでした。しかし、この請求を行うためには、マイページや複数のページを遷移し、特定のリンクを見つけ出すなどの煩雑な手続きが必要でした。このような手続きは、消費者にとって時間がかかり、ストレスの多いものでした。

こうした不透明で複雑な解約手続きは、消費者に不利益を与え、解約を不当に困難にしていると見なされました。特定商取引法では、定期購入契約における解約手続きを簡潔かつ明確に表示することが求められています。今回のケースでは、この表示義務が果たされていなかったため、HappyLifeBioには行政処分が下されることとなったのです。

企業が消費者と信頼関係を築くためには、解約手続きを含めた契約内容を透明にし、誰でも簡単に手続きを進められるようにすることが重要です。複雑で不透明な手続きは、企業に対する不信感を招き、消費者の離脱を引き起こす原因となります。

事業者が今後気を付けるべき点

今回のHappyLifeBioに対する行政処分は、通信販売業者が今後どのようにビジネスを進めるべきかを考える上で、重要な教訓となるでしょう。特に、透明性のある広告消費者保護を重視した対応が求められています。事業者が成長し、消費者からの信頼を維持するためには、次の3つのポイントに特に注意する必要があります。

①広告表現の透明性確保

広告において、製品の効果や機能を過大に表現することは、消費者に誤解を与えるリスクがあります。今回の「ハダキララ」の事例では、「シミが99.9%消える」という誇張された表現が問題視されました。事業者は、広告で謳う効果について、確かな根拠に基づいた情報提供を行う必要があります。

消費者庁は、広告に対する厳格な審査を行い、根拠のない主張があれば、今後も行政指導や処分を行う姿勢を示しています。そのため、事業者は広告表現を見直し、客観的なデータや研究結果に基づく情報発信を徹底することが重要です。また、曖昧な表現や誤解を招く可能性のある表現を避けることで、消費者に対する誠実さを示すことができます。

②解約手続きの簡素化と消費者にわかりやすい対応

解約手続きが煩雑であったことも、HappyLifeBioが受けた行政処分の大きな理由です。事業者は、消費者が容易に契約を解除できるよう、わかりやすくシンプルな解約手続きを提供することが求められます。特定商取引法では、解約手続きの表示をわかりやすくすることが義務付けられており、これを徹底しなければ、同様のトラブルに直面する可能性があります。

消費者がチャットボットやウェブサイトでスムーズに手続きを進められるよう、明確な案内とアクセスしやすい手続きフローの整備が必要です。特に、電話やメール、LINEといった複数の解約手段を用意し、それぞれの手順が簡潔であることが重要です。手続きが不透明である場合、消費者は不安や不満を抱き、企業への信頼が低下してしまいます。

③特定商取引法に基づくコンプライアンスの徹底

消費者保護の観点から、特定商取引法や景品表示法の遵守は不可欠です。これらの法律に違反した場合、業務停止命令や罰金など、事業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、定期購入サービスを提供する場合、契約内容や解約手続きに関して、法律に基づいた適切な情報提供を行うことが不可欠です。

企業は、内部体制を整備し、定期的に法令順守を確認するプロセスを導入するべきです。例えば、法務部門やコンプライアンスチームを設置し、広告や契約内容が法に抵触していないかをチェックすることが効果的です。また、社員教育を通じて、法令遵守の意識を全社的に高めることが重要です。

消費者からの信頼を得るためには、誠実で透明性のあるビジネス運営が不可欠です。誇大広告や不透明な解約手続きは、短期的な利益をもたらすかもしれませんが、長期的には企業の評判や存続に悪影響を及ぼします。企業は消費者との信頼関係を大切にし、透明性と消費者保護を最優先にした事業運営を進める必要があります。

まとめ

今回のHappyLifeBioに対する行政処分は、事業者にとって重要な教訓となりました。誇大広告や複雑な解約手続きが引き起こす問題は、消費者との信頼関係を損ない、企業の長期的な成長を阻害します。消費者が安心して商品やサービスを利用できる環境を整えることが、企業の成功にとって不可欠です。ここで、企業が消費者との信頼を築くために必要なポイントを改めて整理します。

  • 誠実な広告表示
    企業は、製品の効果や特長を正確に伝える広告を心がけ、誇大な表現を避けるべきです。科学的な根拠に基づく広告を作成し、消費者に誤解を与えないことが重要です。今回の「シミが99.9%消える」という表現からもわかるように、消費者に対して誠実な情報提供が求められます。
  • わかりやすい契約と解約手続き
    特に定期購入のような契約が絡むビジネスでは、契約内容や解約手続きをシンプルかつ明確に提示することが重要です。解約が複雑であると、消費者は不満を抱き、企業に対する信頼を失います。解約条件や手続きの方法を消費者にわかりやすく案内し、ストレスのない対応を心がけましょう。
  • 法令遵守と内部監査の強化
    消費者保護を目的とする特定商取引法や景品表示法の遵守は、企業にとって欠かせない要素です。法令遵守の徹底は、企業の信頼性を高めるとともに、行政処分のリスクを減らすことにもつながります。企業は内部監査を定期的に実施し、法的な問題が発生しないよう体制を整備する必要があります。
  • 長期的な視点での信頼構築
    短期的な売上や利益を追求するあまり、誇大広告や不適切な手続きに走ることは、企業にとって逆効果です。消費者との信頼は一朝一夕で築けるものではなく、長期的な視点での誠実な対応が必要です。透明性のある事業運営を続け、消費者に安心感を提供することが、持続可能な成長につながるでしょう。

今後、企業はこのような教訓をもとに、透明性と消費者保護を最優先に考えたビジネスを展開することが求められます。広告から契約、そしてアフターケアまで、消費者に対して誠実な姿勢を貫くことで、企業は消費者の信頼を得て、健全な成長を続けることができるでしょう。

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