薬機法・景表法ニュース

消費者庁が通信販売業者【株式会社マーキュリー】に対し、行政処分を課す【2024年11月6日】

マーキュリーに業務停止3カ月 「使用後、10秒で黄ばみが消えた!」根拠なし

消費者庁は10月31日、薬用歯磨きを販売する通信販売業者㈱マーキュリー(東京都渋谷区、浅川浩孝社長)に対し、特定商取引法に違反したとして3カ月間(2024年11月1日~25年1月31日)の業務禁止を命じた。同庁が1日に発表した。今後、同社と浅川社長は上記期間において通信販売における広告と申込の受付、売買契約を新たに行うことができない。

同社は、薬用歯磨き『o-dent Clear White』をウェブサイトで販売するに当たり、少なくとも今年1月13日~7月9日までの間、「10秒で黄ばみ消えた!・・・本当に10秒歯に塗るだけで歯が真っ白になったんです!」、「歯の蓄積黄ばみを…完全漂白できる裏技 黄ばみポロポロ落ちる理由」、「数十年へばりついた黄ばみも余裕で100%落として真っ白の歯に!」などと表示し、あたかも塗布した個所の歯の黄ばみを完全に、しかも即座に除去して歯を白くする効能があるかのような表示をしていた。

そこで消費者庁は、特商法第12条の2の規定「合理的な根拠を示す資料の提出」に基づき、表示の裏付けとなる根拠資料の提出を求めたが、同社は資料の提出を行わなかったため、同庁はこれらの表示を不当表示(優良誤認)と認定した。

消費者庁は同社に対し、その発生原因を検証し、法令遵守体制を整備の上、法令および契約に基づく返金、解約の問い合せなどに適切かつ誠実に対応することなどを含む再発防止策を講じ、役員や従業員に周知徹底するように指示した。また、特商法の規定を順守することはもとより、今回の違反行為について消費者に周知徹底するよう命じた。

引用元:Wellness Daily News

2024年10月31日、消費者庁は、株式会社マーキュリーが販売する薬用歯磨き「o-dent Clear White」に関して、通信販売業務を3カ月間停止するよう命じました。マーキュリー社は、同商品に「10秒で黄ばみが消えた!」など、即効性のある歯の漂白効果があるかのような広告を展開していましたが、その効果を証明する合理的な根拠を示せなかったことが問題視されました。

このような広告は、消費者に誤解を与えるリスクが高く、特定商取引法における「誇大広告」に該当する行為として違法と判断されました。今回の処分は、誇大広告に対する法的制裁の一例であり、企業に対して根拠のある広告を行う重要性を改めて示すものとなりました。

今後、マーキュリー社をはじめとする各事業者が気をつけるべきポイントや、信頼を維持するための対策について詳しく見ていきます。

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なぜ誇大広告となってしまったのか

マーキュリー社が販売していた薬用歯磨き「o-dent Clear White」の広告には、「10秒で黄ばみが消えた!」や「歯に塗るだけで歯が真っ白になる」といった即効性のある漂白効果を強調する表現が多く見られました。

これらのキャッチコピーは、商品の効果があたかも短時間で確実に現れるかのような印象を消費者に与え、「蓄積した黄ばみが100%落ちて真っ白になる」といった誇張表現も含まれていました。

しかし、消費者庁がその効果を裏付ける資料の提出を求めたところ、マーキュリー社は証拠を提出できませんでした

消費者庁の指摘と「誇大広告」の判断

消費者庁は、特定商取引法第12条の2に基づき、「合理的な根拠を示す資料」の提出を企業に求めることができます。

特定商取引法では、消費者が商品やサービスの購入を判断する際に、広告に含まれる情報が真実であること、特に品質や効能について誤解を与えないことが求められています。

今回のケースでは、マーキュリー社が合理的な根拠を示せなかったことから、消費者庁はこれを「実際のものよりも著しく優良であると消費者を誤認させるような表示」と判断し、広告が消費者にとって誤解を招く誇大広告であると認定しました。

今回の業務停止命令による業界への影響

消費者庁がマーキュリー社に対して行った3カ月間の業務停止命令は、単なる制裁にとどまらず、企業が広告において合理的な根拠を示す必要性を改めて浮き彫りにしました。この命令は、「誇大広告」を放置しないという消費者庁の姿勢を示すとともに、消費者保護の観点からも大きな意義を持っています。

業務停止命令による影響

業務停止命令は、企業に対して厳格な罰則が科される重大な措置です。今回の処分により、マーキュリー社及びマーキュリーの代表取締役である浅川浩孝氏は2024年11月1日から2025年1月31日まで、通信販売での広告や注文受付、新規の売買契約を行うことができなくなりました。これにより、売上の減少やブランドイメージの損失が避けられない状況となり、企業にとって重大なダメージとなるでしょう。

さらに、このような制裁措置は業界全体への警鐘ともなり、他の事業者にも同様のリスクを避けるために広告の見直しや体制の強化が促されると考えられます。

「根拠のある広告表現」の重要性

健康・美容関連商品における広告は、消費者の期待や安心を支える役割を持っています。効果を誇張した広告表現は、短期的には注目を集めるかもしれませんが、合理的な根拠を欠いたまま展開すると、違法な「誇大広告」とされ、企業全体の信頼を損なう可能性が高まります。業界全体にとっても、消費者からの信用を維持し、健全な市場環境を保つためには、誇張のない、根拠に基づいた広告が必要不可欠です。

また、マーキュリー社への制裁が業界に周知されることで、企業は「エビデンスを基にした広告表現」や「社内のコンプライアンス体制の強化」に注力せざるを得ない状況が生まれるでしょう。今回の措置は、企業が法令を遵守しつつ、誠実な広告で消費者との信頼関係を構築する重要性を改めて示したものと言えます。

事業者側の法的リスクと今後の注意点

マーキュリー社の業務停止命令を受け、他の事業者が広告表示においてより慎重な対応を求められることは明らかです。企業が消費者に誤解を与えない広告を行うためには、法令遵守と適切な証拠資料の準備が欠かせません。ここでは、今後の事業者が注意すべきポイントについて具体的に説明します。

広告表示と合理的な根拠の整備

特定商取引法の規定により、広告における商品の効果や品質についての主張には、合理的な根拠が求められます。特に健康や美容に関連する製品は、消費者に対する影響が大きいため、効果を証明するデータや臨床試験の結果など、確かなエビデンスの提示が求められます。

企業は、商品開発の段階から根拠資料をしっかりと収集し、広告で示す情報が実際の効果を反映したものであるかを検証することが重要です。

消費者保護と信頼構築に向けた社内体制の強化

企業は広告表示だけでなく、消費者からの問い合わせやクレーム対応にも真摯に取り組む必要があります。特に、今回のケースでは消費者庁が再発防止策として、「法令遵守体制の整備」や「その他の再発防止策(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む)」を指示しています。

これにより、企業は内部のコンプライアンス体制を見直し、役員や従業員に対する広告表示の教育や管理体制の強化を行うことが求められます。適切な社内体制を整えることで、消費者の信頼を保ち、問題発生を未然に防ぐことができるでしょう。

誇大広告のリスクを把握し、適切なマーケティングを行う

短期間で劇的な効果を強調する広告は、消費者の興味を引く一方で、実際には誇大広告となるリスクが伴います。過度な表現は「実際のものよりも著しく優良であると消費者を誤認させるような表示」とされ、消費者庁からの指導や罰則の対象となり得るため、企業は消費者に誠実な情報を伝えるマーケティングを心がけるべきです。適切な広告表示は、企業が長期的な信頼を得るための重要な要素であり、消費者からの信頼が失われないよう慎重に取り組むことが求められます。

このように、法令遵守に基づく誠実な広告表現は、企業の信用を守り、消費者の信頼を築くための基本姿勢です。適切なマーケティングを行うことで、企業は長期的な成長を実現し、市場全体の信頼を高めることができるでしょう。

まとめ

今回のマーキュリー社の事例は、企業が広告において正確で根拠のある情報を提供する重要性を再認識させるものでした。短期間で歯の黄ばみが劇的に改善するという主張は、明確な根拠がなければ消費者を誤解させ、誇大広告と判断される可能性が高まります。消費者庁の厳しい処分は、誇張された広告表示が消費者保護の観点から重大な問題を引き起こすことを示唆しています。

企業が消費者に誠実な情報を提供するためには、商品の効果を示す科学的なデータや合理的な証拠を備えること、そして適切な広告表示に徹することが求められます。また、社内での法令遵守の徹底やコンプライアンス教育の強化も欠かせません。こうした取り組みが、消費者との信頼関係を築き、企業の持続的な成長を支える基盤となります。

誠実で透明性のあるマーケティングは、消費者からの信用を得るだけでなく、業界全体の健全性を保つためにも必要です。今回の事例を踏まえ、事業者は根拠に基づいた広告活動を徹底し、消費者保護に配慮したマーケティングのあり方を見直す契機とすることが期待されます。

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