【業務停止命令後も業務継続か】リアラスター、特商法違反で広告禁止命令 東京都「命令違反の可能性がある」
東京都から特定商取引法に基づく業務停止命令を受けていた、化粧品のECを展開するLIALUSTER(リアラスター)が、業務停止命令後も、東京都における業務を継続している可能性があることが、このほど分かった。同社は東京都から、11月2日からの3カ月間、「商品の販売条件について広告すること」を停止する命令を受けていたが、11月18日時点で、東京都からでも、広告画面(LP)を閲覧できるようになっていた。東京都は、「広告画面が見られるのであれば、命令違反に当たる可能性がある」(取引指導課)としている。
東京都は11月1日、リアラスターなど3社に対して、誇大広告や最終確認画面の表示義務違反で、3カ月間の業務停止命令を行っていた。
本紙がリアラスターのECサイトを確認したところ、クレンジングや化粧水など6つの商品について、LPを確認することができた。6つのうち、5つのLPの最上段部分には、「東京都にお住まいの方へ 注文殺到に伴い、公式サイトでは購入を制限しております。大変ご迷惑をおかけしますが、お取扱店舗が多い東京都に在住の方は最寄りの取扱店舗でお買い求めいただきますようお願いします」と記載している。
1つのLPには、東京都民向けの表記がないものもあった。
東京都はリアラスターなど3社に対して、東京都に住所を持つ人に限定して、商品の広告や販売、売買契約の締結を停止することを命じた。東京都以外の人に対して、広告や販売を行うことは問題ない。
本紙は、リアラスターのECサイトから、東京都の住所を入力して商品を購入しようと試みた。LPから届け先住所などを入力し、購入完了ボタンを押すと、お問い合わせページへと遷移して、商品を購入することができなかった。少なくとも、東京都の住所では、商品の購入はできないようだ。
ただ、LPについては、東京都の住所からでも閲覧することができた。その点において、業務停止命令違反に当たる可能性がある。
特商法に詳しい、リーガルエックスの関山翔太代表は、「『東京都在住の方は~』という文言は、実店舗での販売条件を案内することで、通販による業務停止命令を回避しようとしているものと考えられる。しかし、この表示が『広告をしていない』と見なされるかは微妙であり、解釈に疑義が残る」としている。
仮に、リアラスターのLPが、東京都民に対する「商品の販売条件の広告」に当たると判断された場合、業務停止命令違反の罰則として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性がある。
東京都は、「東京都民が広告画面を見られる状態にあるのであれば、業務停止命令違反に当たる可能性がある。命令違反に当たれば、関係機関とも協議して、罰則の適用を慎重に検討する。まずは、命令で指示している、防止策とコンプライアンス体制の構築に関する都への報告を待って判断したい」(同)としている。
引用元:Yahoo!ニュース
Contents
特商法における広告と解釈の問題
リアラスターが業務停止命令違反の可能性を指摘されている理由の一つに、「広告」の解釈を巡る問題があります。特商法では「広告」の定義が幅広く、事業者側の意図を超えた解釈がされる場合があります。
特商法における「広告」の定義
特商法第2条では、「広告」とは、商品やサービスの販売条件について消費者に告知する行為を指します。この定義に基づくと、以下のような行為が広告と見なされる可能性があります。
- ウェブサイト上で商品の特長や価格を記載すること。
- 「東京都民は店舗での購入をお願いします」などの表記が含まれるLPの公開。
リアラスターのケースでは、「東京都民は店舗で購入を」という記載が販売条件を告知していると判断されれば、これも広告とみなされるリスクがあります。
「広告でない」とする事業者の主張の限界
リアラスターは、広告ページに「東京都民はオンラインでの購入が制限される」という表記を追加することで、業務停止命令に違反していないことを主張していると考えられます。しかし、専門家によると、以下の点でその主張には限界があります。
- LPが閲覧可能な時点で広告とみなされる可能性
特商法では、販売対象地域を限定しても、閲覧できる状態が広告行為と解釈される場合があります。 - 「広告」か否かの解釈は消費者の視点で行われる
事業者の意図ではなく、消費者がその情報をどう受け取るかが基準となります。そのため、文言の工夫だけでは広告でないと証明するのは困難です。
専門家の見解
法律事務所リーガルエックス代表の関山翔太氏は以下のように指摘しています。
「『東京都民向け購入制限表示』は、通販による業務停止命令を回避しようとしているものと考えられます。しかし、この表示が『広告をしていない』と見なされるかは微妙であり、解釈に疑義が残る。」
この見解は、特商法の運用が事業者にとっていかに厳しいかを示しています。
法的リスクとペナルティ
リアラスターが業務停止命令に違反していると判断された場合、法的リスクと厳しいペナルティが科される可能性があります。このリスクは単に罰則にとどまらず、企業の信頼やブランドイメージに深刻な影響を与える恐れもあります。
業務停止命令違反がもたらす罰則
特商法第70条によれば、業務停止命令に違反した場合、以下の刑事罰が適用される可能性があります。
- 3年以下の懲役
- 300万円以下の罰金
また、法人の場合は両罰規定が適用されるため、法人自体にも罰金刑が科される可能性があります。
実際に東京都から罰則が科される条件
東京都は今回の事案について以下のポイントを調査しています。
- 広告が閲覧可能であることが命令違反に該当するか
特商法では、「広告の告知」が停止命令の対象となります。リアラスターのLPが東京都内から閲覧可能である点が問題視されています。 - 意図的な違反か否か
事業者が命令を遵守しようとした形跡があるかどうかも重要な判断材料です。リアラスターは東京都民向けの購入制限文言を記載しているものの、これが十分かどうかが問われます。 - 東京都の対応方針
東京都は以下のように述べています。「命令違反に当たれば、関係機関とも協議して、罰則の適用を慎重に検討する。」
東京都は、まずリアラスターから提出される防止策やコンプライアンス体制の報告を確認し、その内容次第で罰則の適用を判断する構えです。
企業ブランドへの影響
業務停止命令違反と判断されると、罰則以上に以下の影響が懸念されます。
- 消費者の信頼低下
特商法違反や命令違反が公に報じられると、消費者の信頼を損ね、製品の売上やブランド価値に長期的な悪影響を与える可能性があります。 - 行政や取引先との関係悪化
行政からの指導を無視した形になると、他の行政機関や取引先からの評価も低下する恐れがあります。
事業者が今後気を付けるべきポイント
リアラスターの事例は、特商法の厳格な運用に対する企業の対応不足を浮き彫りにしました。同様のリスクを回避するためには、事業者が特商法を正確に理解し、コンプライアンス体制を強化することが不可欠です。
①コンプライアンスの強化
特商法の遵守は、法的リスクの回避だけでなく、消費者の信頼を獲得するためにも重要です。以下の対策を講じる必要があります。
- 特商法の定期的な研修
法律の変化や運用事例を定期的に確認し、従業員全体に共有する体制を整備します。 - 専門家との連携
法務部門や外部の法律専門家と連携し、広告や販売方法が特商法に準拠しているかを定期的に確認します。
②LPや広告運用管理の見直し
広告ページ(LP)や販売条件の表示においては、法的な問題が発生しないよう、次のような改善が求められます。
- 広告コンテンツの第三者チェック
内部だけでなく、法律の専門家やコンサルタントによるレビューを導入し、広告が消費者に誤解を与えないかを検証します。 - 都道府県ごとの対応方針の明確化
販売や広告に関する制限がある地域では、対象地域の消費者に対して一切の広告が閲覧できないよう、技術的な措置(IP制限など)を導入します。
③行政指導への迅速な対応
行政指導を受けた場合、以下の手順を迅速かつ誠実に遂行する必要があります。
- 原因調査と再発防止策の策定
指摘された問題の原因を徹底的に調査し、適切な防止策を作成します。 - 改善報告の提出
行政に対して具体的な改善内容と実施スケジュールを速やかに報告し、信頼回復に努めます。 - 監査制度の導入
第三者によるコンプライアンス監査を定期的に実施し、再発を防ぐ仕組みを構築します。
④消費者との信頼構築
特商法に違反しないようにするだけでなく、消費者にとって誠実で透明性のある運営を心がけることが重要です。
- 全取引条件の明確化
購入前にすべての条件が消費者にとって分かりやすく記載されているかを確認します。 - トラブル対応窓口の設置
問題が発生した場合に迅速に対応できる窓口を整備し、消費者の信頼を損なわないよう対応します。
まとめ
リアラスターが特商法違反で業務停止命令を受けたにもかかわらず、広告ページが閲覧可能だった問題は、コンプライアンス体制の不備と特商法の厳格な運用の重要性を示しています。
事業者は、広告や販売条件を法的に適切かつ透明性のある形で運用し、特商法の解釈を誤らないよう専門家と連携することが求められます。
また、消費者からの信頼を維持するためには、法律を守るだけでなく、誠実で分かりやすい取引を心掛けることが重要です。
この問題を教訓に、企業全体で再発防止策を徹底していく必要があります。
このニュースから学んでおきたい知識
特定商取引法(以下、特商法)は、消費者を不当な取引から保護するために制定された重要な法律です。企業に対して透明性のある取引と適切な広告表現を求めることで、公正な市場環境を維持する役割を担っています。近年、EC市場の拡大とともに、この法律の重要性はさらに増しています。
化粧品のオンライン販売を手掛ける「LIALUSTER(リアラスター)」は、東京都から特商法違反を指摘され、11月2日から3カ月間の業務停止命令を受けました。
しかし、業務停止期間中であるにもかかわらず、広告ページが閲覧可能な状態にあることが確認され、「業務停止命令違反の可能性」が議論されています。
本記事では、この問題の詳細を解説し、今後事業者が注意すべき点を説明します。
【リピーター多数!】広告表現に関する悩みを解決する >