市販薬購入、コンビニでも可能に 医薬品医療機器法などの改正案を閣議決定
政府は12日、薬剤師らからオンラインで説明を受けることを条件に一般用医薬品(市販薬)をコンビニエンスストアでも購入可能にする医薬品医療機器法などの改正案を、閣議決定した。社会問題となっている市販薬の乱用対策では、若年者への購入制限を設ける。
市販薬は薬剤師や登録販売者による販売が義務付けられている。改正案では、パソコンやスマートフォンを使って薬剤師らから服薬の説明を受けるなどすれば、薬局が委託したコンビニで薬が買える。当面は薬局と委託先のコンビニは同一都道府県内とする。
「乱用の恐れのある医薬品」に指定されている、せき止めやかぜ薬などについては、若年者への販売を小容量製品1個に制限する。法改正に向けた厚生労働省の医薬品医療機器制度部会では、制限するのは20歳未満としていたが、改めて検討した上で対象を決める。
ジェネリック医薬品(後発薬)などの薬の供給不足対策として、出荷停止の製品が出た際の国への報告を製薬会社に義務付ける。
参照元:産経ニュース(2025年2月12日より)
Contents
ニュースの概要
政府は2月12日、医薬品医療機器法(薬機法)の改正案を閣議決定しました。今回の改正は、一般用医薬品(市販薬)の販売規制の緩和や、創薬スタートアップ支援の強化、調剤業務の外部委託の一部解禁など、多岐にわたる内容を含んでいます。
厚生労働省の福岡資麿大臣は閣議後の記者会見で、「創薬スタートアップの支援を行う事業者などに対し、機器や施設整備、事業化支援への補助を行うことを想定している」と述べ、官民連携による創薬基盤の強化を目指す考えを示しました。
また、薬局における調剤業務の外部委託が一部可能となることや、製薬会社に対し「供給体制管理責任者」の設置を義務付けることなど、医薬品の安定供給を強化するための施策も盛り込まれています。
この改正案は、今後の国会審議を経て正式に成立する見込みですが、事業者にとっては薬機法のルールが大きく変わる可能性があるため、事前の準備が必要です。
今回の改正で何が変わるのか
今回の薬機法改正では、以下の4つのポイントが大きく変更されます。
① 市販薬の販売規制緩和
これまで、市販薬(一般用医薬品)は薬剤師または登録販売者が常駐する店舗でなければ販売できませんでした。しかし、改正により一定の条件を満たせば、コンビニエンスストアなどの無人店舗でも販売が可能になります。
- 第2類・第3類医薬品に限定(風邪薬や胃腸薬など)
- 購入者が使用方法や注意事項を確認できる仕組みの導入(QRコードやデジタルサイネージの活用)
- 適切な管理・監視体制の確立
これにより、消費者の利便性は向上しますが、一方で誤った使用による健康被害を防ぐための対策も求められます。
② 創薬スタートアップ支援の強化
新薬の開発には膨大な資金と時間が必要ですが、日本では新規参入が難しい状況が続いていました。今回の改正では、創薬スタートアップを支援するための基金が新たに設置されます。
- 研究開発資金の補助
- 必要な設備や機器の導入支援
- 事業化支援(薬事申請や販路開拓の支援)
官民が連携することで、国内の創薬基盤を強化し、革新的な医薬品の開発を促進する狙いがあります。
③ 調剤業務の外部委託の一部解禁
現在、薬局では薬剤師が処方箋に基づいて調剤を行っていますが、人手不足などの課題を解決するため、一部の業務について外部委託が認められるようになります。
- 医薬品のピッキング(薬の取り揃え)
- 服薬指導以外の事務作業
これにより、薬剤師の業務負担が軽減され、患者対応や服薬指導など、より専門的な業務に集中できる環境の整備が期待されています。
④ 医療用医薬品の安定供給対策
近年、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の供給不安が問題となっています。これを受け、製薬会社に対して「供給体制管理責任者」の設置を義務付け、医薬品の安定供給を強化する方針が示されました。
- 供給体制の監視と管理を強化
- 供給不足時の迅速な対応策の策定
- 後発医薬品の安定供給を支援するための基金の設置
これにより、製薬会社は供給リスクの管理体制を強化する必要があるため、事前の準備が求められます。
事業者が意識しておくべき点
今回の薬機法改正により、事業者はさまざまな対応を求められます。特に、以下の4つのポイントについては、早めの準備が必要です。
① 市販薬販売のルール変更への対応(小売業者)
コンビニやドラッグストアなどの小売業者にとって、市販薬の販売規制緩和はビジネスの新たなチャンスとなります。しかし、販売条件を満たすための体制整備が不可欠です。
- どの種類の医薬品を販売できるのかを確認
- 購入者が適切に情報を得られるシステムの導入(QRコード、電子マニュアルなど)
- 販売管理の適正化(誤販売や乱用を防ぐための仕組みづくり)
特に、消費者が適切に医薬品を使用できるよう、情報提供の仕組みを整えることが求められるでしょう。
② 創薬スタートアップ支援の活用(製薬・バイオ関連企業)
製薬業界や創薬スタートアップ企業にとって、今回の基金設立は大きな支援策となります。この機会を活用するために、どのような支援が受けられるのかを把握し、申請準備を進めることが重要です。
- 支援対象となる事業の範囲を確認
- 研究開発や設備投資計画の見直し
- 申請要件やスケジュールを早めに把握
特に、新薬開発には長い期間と多額の資金が必要なため、国の支援を最大限活用する戦略が求められます。
③ 調剤業務の外部委託に関する対応(薬局経営者・薬剤師)
調剤業務の外部委託が一部認められることで、薬局の業務効率化が進む可能性があります。しかし、委託範囲や安全管理のルールを十分に理解し、適切に運用することが不可欠です。
- 外部委託可能な業務範囲の確認
- 委託先の選定と品質管理の体制構築
- 患者への影響を最小限に抑えるための対応策
薬剤師の業務負担を軽減しつつも、適切な管理のもとで運用することが重要です。
④ 医薬品の安定供給体制の強化(製薬企業)
製薬会社にとって、「供給体制管理責任者」の設置義務化は、医薬品供給の安定化を求められる重要なポイントとなります。
- 供給管理体制の強化(リスク管理の見直し)
- 供給不足時の対応計画の策定
- 新たな基金の活用を検討
特に後発医薬品を製造する企業は、安定供給を維持するための計画を明確にし、国の支援策を活用することが重要です。
まとめ
今回の薬機法改正は、市販薬の販売規制緩和や創薬支援の強化、調剤業務の外部委託、医薬品の安定供給対策など、業界に大きな影響を与えます。事業者にとっては、新たなビジネスチャンスが生まれる一方で、対応すべき規制や管理体制の整備が求められるため、早めの準備が必要です。
今後、国会での審議を経て正式に成立すれば、具体的な運用ルールが明確になるため、最新情報をチェックしながら、適切な対応を進めていくことが重要です。
このニュースから学んでおきたい知識
政府は2月12日、医薬品医療機器法(薬機法)の改正案を閣議決定しました。これにより、一定の条件下でコンビニなどでも市販薬を購入できるようになるほか、創薬スタートアップの支援強化や、調剤業務の外部委託が一部解禁されるなど、医薬品業界に大きな影響を与える改正となっています。
同年1月10日に、厚労省より「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」が発表されておりますので、こちらも参考にしてみてください。
本記事では、今回の改正で何が変わるのか、そして事業者が意識しておくべきポイントを詳しく解説します。
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