「がんに効く」と未承認の医薬品販売か、食品会社従業員を逮捕…「社長の指示に従っただけ」供述
医薬品として承認されていない錠剤を、病気に効くとうたって販売したなどとして、山梨県警は20日、山梨県笛吹市の健康食品販売会社のパート従業員の男(66)(同市)を医薬品医療機器法違反(無許可販売など)容疑で逮捕した。
山梨県警が押収した商品など(20日、笛吹署で)
発表によると、男は昨年6~11月、未承認の医薬品6商品を、同社ホームページで「がんに効く」などとうたったほか、医薬品の販売許可を得ていないにもかかわらず、商品25点(計約12万円分)を県外の60歳代男性2人に販売した疑い。また、昨年12月には、販売目的で商品計1110点を事務所に貯蔵していた疑いも持たれている。「会社の指示に従っただけ」などと供述しているという。
県警保安課によると、同社は少なくとも2021年1月~昨年11月の間、全国約400人に未承認の商品を販売していたとみられ、会社の関与の有無についても調べている。
参照元:読売新聞オンライン(2月22日より)
Contents
ニュースの概要
2024年2月20日、山梨県警は、未承認の医薬品を「がんに効く」などとうたって販売したとして、健康食品販売会社の従業員の男を医薬品医療機器法違反(無許可販売など)の疑いで逮捕しました。
この事件では、未承認医薬品を県外の高齢者2人に販売しただけでなく、事務所に大量の未承認医薬品を保管していたことも問題視されています。さらに、同社は少なくとも2021年1月から全国約400人に販売していたとみられ、警察は会社全体の関与についても調査を進めています。
このような未承認医薬品の販売は、健康被害のリスクがあるだけでなく、法律違反となる可能性が非常に高いため、事業者は特に注意しなければなりません。次の章では、「なぜ医薬品の承認が必要なのか」「違反した場合のリスク」について詳しく解説します。
なぜ承認が必要なのか、違反するとどうなるか
事業者が注意すべきポイントを以下で解説いたします。
① 医薬品の承認制度とは?
日本では、医薬品を販売するために厚生労働省の承認を受ける必要があります。これは、医薬品の安全性や有効性を確保し、消費者の健康を守るために設けられた制度です。医薬品が承認されるまでには、以下のような厳格な審査が行われます。
- 成分の安全性の確認 – 副作用がないか、健康に悪影響を及ぼさないかをチェック
- 効果の検証 – その医薬品が本当に病気に対して効果があるのか、科学的根拠をもとに検証
- 品質管理の徹底 – 製造過程が適切であり、成分の含有量や純度が基準を満たしているかを確認
このようなプロセスを経て、安全性・有効性・品質について国が認めたものだけが医薬品として販売できます。未承認の医薬品はこのプロセスを経ておらず、効果が不確かであるだけでなく、健康被害を引き起こす危険もあります。
② 未承認医薬品を販売するとどうなる?
未承認の医薬品を無許可で販売した場合、「医薬品医療機器法(薬機法)」に違反することになります。具体的には、以下のような罰則が科される可能性があります。
- 無許可販売(薬機法第24条):
→ 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金) - 虚偽・誇大広告(薬機法第66条):
→ 2年以下の懲役または200万円以下の罰金
課徴金制度とは、違法な広告や無許可販売によって得た不当な利益を回収するための制度です。2021年の法改正により、以上のような場合に課徴金が課されるようになりました。違反が確認されると、売上額の4.5%が課徴金として徴収される可能性があります。ただし、違反行為を自主的に申告した場合は課徴金が減額されることもあります。
また、未承認の医薬品が健康被害を引き起こした場合、民事訴訟を起こされる可能性もあり、企業の信用が大きく損なわれます。今回の事件のように、長期間にわたって販売していた場合、より厳しい処分が下される可能性もあります。
このように、医薬品の承認制度は消費者の安全を守るために設けられており、違反すると刑事罰や民事責任を問われることになります。では、事業者はどのような点に注意すれば違法行為を避けられるのでしょうか?次の章で詳しく解説します。
事業者が意識しておくべき点
未承認医薬品とみなされないためには、事業者が法律を正しく理解し、適切なルールを守ることが重要です。ここでは意識すべきポイントを解説します。
① 健康食品と医薬品の違いを理解する
健康食品やサプリメントは、医薬品ではないため、「〇〇に効く」「病気が治る」といった表現を使うことはできません。これを誤ると、医薬品と誤認させる広告とみなされ、薬機法違反となる可能性があります。
- 「〇〇の栄養補給に役立ちます」
- 「毎日の健康維持をサポートします」
- 「〇〇を治す」「がんに効く」
- 「高血圧が改善する」
- 「インフルエンザに効果あり」
販売する商品が健康食品である場合は、あくまで栄養補助としての役割を伝える表現にとどめるようにしましょう。
② 医薬品の販売には許可が必要
医薬品を販売するには、都道府県から「医薬品販売業許可」を取得しなければなりません。また、販売にあたっては「薬剤師」や「登録販売者」といった資格を持つ人が管理・説明を行う必要があります。
今回の事件では、販売許可を得ていない事業者が未承認の医薬品を販売したことが違反行為となりました。たとえ医薬品として海外で販売されている製品であっても、日本で承認されていない場合は違法販売になるため注意が必要です。
③ 販売前に専門家に相談する
医薬品や健康食品の販売を考えている事業者は、事前に弁護士、行政書士、薬事コンサルタントなどの専門家に相談するのが賢明です。特に、広告表現や許可取得のプロセスについて誤ると、意図せず違法行為に踏み込んでしまう可能性があります。
- 販売予定の商品が医薬品に該当するか
- 広告で使用できる表現
- 必要な許可や手続き
法令を遵守しながらビジネスを行うことで、企業の信頼を守り、消費者に安全な商品を届けることができます。
まとめ
今回の事件では、未承認医薬品を「がんに効く」と宣伝し、無許可で販売したことが問題となりました。医薬品の承認制度は、消費者の安全を守るために必要なものであり、違反した場合には厳しい罰則が科される可能性があります。
事業者としては、
・健康食品と医薬品の違いを理解する
・適切な販売許可を取得する
・専門家に相談しながら事業を運営する
といった点を意識し、法律を遵守することが重要です。
消費者もまた、「病気が治る」とうたう商品には注意を払い、信頼できる情報をもとに購入判断をすることが求められます。
未承認の医薬品の販売は、販売者にも購入者にもリスクがある行為です。健全なビジネスを行うために、正しい知識を持つことが大切です。
このニュースから学んでおきたい知識
未承認の医薬品を「がんに効く」などとうたって販売したとして、健康食品販売会社の従業員が医薬品医療機器法違反(無許可販売など)の疑いで逮捕される事件がありました。
健康食品やサプリメントの販売を行う事業者の中には、「どこまでが合法なのかわからない」と悩む人も多いのではないでしょうか?未承認医薬品の販売は、消費者に健康被害をもたらす危険があるだけでなく、法律違反となるリスクもあります。
この記事では、
・今回の事件の概要
・医薬品の承認が必要な理由と違反した場合のリスク
・事業者が違法にならないために意識すべきポイント
について解説します。
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