薬機法・景表法ニュース

消費者庁、ジムの値引き表示に誤認の疑い—確約計画を初認定【2025年2月26日】

消費者庁からの通知を受け、自主的に問題の是正を約束する確約計画を提出、消費者庁は認定。

消費者庁は、caname株式会社が「かたぎり塾」と称するパーソナルジムにおいて提供する運動指導について行っていた表示に係る景品表示法違反被疑事件において、確約手続に付すことが適当であると判断し、令和7年2月3日、同法第30条の規定に基づき、同社に対し、確約手続に係る通知を行ったところ、同社から、同法第31条第1項の規定に基づき、確約計画の認定の申請がありました。消費者庁は、当該確約計画は、前記行為による影響を是正するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同条第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定しました。
なお、本認定は、消費者庁が、同社の前記行為が同法の規定に違反することを認定したものではありません。
参照元:消費者庁HP(2025年2月3日より)

企業の広告や表示が消費者に誤解を与えると判断された場合、景品表示法に基づき行政の対応が求められることがあります。違反が認定されれば、措置命令や課徴金の対象となることもあり、企業にとって大きなリスクとなります。

その一方で、確約手続という仕組みを活用すれば、企業は行政処分を回避しつつ、自主的に問題を是正する道を選ぶことができます。確約計画が認定されれば、消費者庁からの措置命令は出されず、企業は信頼回復のための対応に集中することが可能です。

今回、消費者庁がcaname株式会社の確約計画を認定したことで、確約手続とはどのような制度なのか、企業にとってどのような影響があるのかに関心が集まっています。

そこで本記事では、確約手続きとは何か?どのような点が問題視されたのか?確約手続きのメリットとデメリット事業者が注意すべきポイントについて解説し、事業者が適切な対応を取るためのポイントを整理します。

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確約手続とは

確約手続とは、景表法違反の疑いがある事業者が、自主的に問題を是正する計画(確約計画)を策定し、消費者庁がそれを認定することで行政処分を回避できる制度です。

景表法違反が疑われる場合、通常は消費者庁等が措置命令を出します。しかし、事業者が速やかに問題を認め、適切な是正措置を講じる意思を示せば、措置命令を回避できる可能性があります。

今回の問題点は

消費者庁等が確約手続に付すことが適当であると判断し、確約手続に係る通知を行った背景には、caname株式会社が運営するパーソナルジム「かたぎり塾」の入会金割引に関する表示が、消費者に誤解を与える可能性があったことが挙げられます。

「期間限定で入会金割引を実施」と自社ウェブサイト上で宣伝。しかし、実際には期限後も同じ割引が適用されていた
・このような表示は、「期限内に申し込まないと割引が受けられない」と消費者に誤解を与える可能性があり、景品表示法における有利誤認表示に該当する疑いが持たれました。

※有利誤認表示(景表法第5条第2号)
・「期間限定価格」や「特別割引」と宣伝しながら、常に同じ価格で提供
・実際の価格と比較して、誤解を招くような割引表記をしている

確約手続のメリット・デメリット

確約手続のメリット

  • 措置命令(行政処分)を回避できる
    ・確約計画が認定されると、景表法違反を確定されることなく問題を是正できるため、企業イメージの悪化を最小限に抑えられます。
  • 課徴金を回避できる可能性がある
    ・景表法違反が認定されると、課徴金(違反行為が行われた期間(最長3年間)の売上額×3%)が科される場合がありますが、確約手続を活用すれば、課徴金が免除されることもあります
  • 迅速な対応が可能
    ・確約手続では、企業が自主的に是正策を実施するため、行政処分が下るまでの長い審査プロセスを省略できるというメリットがあります。
  • 企業の信頼回復につながる
    ・積極的に問題を認め、改善に努める姿勢を示すことで、消費者や取引先からの信頼を維持できる可能性があります。

解約手続のデメリット

  • 違反の疑いが公表されるリスク
    ・確約手続が行われると、消費者庁のウェブサイトに企業名が公表されるため、企業のイメージに影響を与える可能性があります。
  • 是正措置の義務が発生する
    ・確約計画が認定されると、企業は計画に沿った改善策を確実に実行しなければならないため、業務負担が増加します。
  • 他の規制当局からの監視が強化される可能性
    ・一度確約手続を適用されると、他の広告や表示についても厳しくチェックされるリスクがあります。
  • 消費者や競合他社からの指摘を受ける可能性
    ・確約計画を実施しても、消費者や競合他社が問題を指摘し、さらなる対応を求められるケースもあります。

事業者が意識すべきポイント・まとめ

景表法違反の疑いがかかると、企業の信用やブランドイメージに大きな影響を与える可能性があります。今回のcaname株式会社の事例から、事業者は次のポイントに気をつけましょう。

価格やキャンペーンの表示は、実際の条件と一致しているか慎重に確認する
「No.1」「効果保証」などの表現は、適切な根拠がない限り使用しない
問題が指摘された場合、確約手続を活用し、迅速に是正対応を行う

消費者の信頼を守りながら、適切なマーケティングを行うためには、日頃から広告内容をチェックし、法令を遵守する姿勢が求められます。

景表法違反は企業の信頼を損なう可能性があります。適正な広告を徹底し、消費者に誤解を与えない誠実な情報提供を行いましょう。

このニュースから学んでおきたい知識

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