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【景表法違反】イースマイルなどに措置命令“ダニ25万匹捕獲”は根拠なし【2025年3月14日】

“ダニ25万匹捕獲 根拠なし” 販売事業者に再発防止の措置命令

布団やカーペットなどにいて、アレルギーの原因にもなりうる「ダニ」を、「シート1枚で25万匹捕獲できる」などとうたって販売した事業者2社に対し、消費者庁は「広告の裏付けとなる合理的な根拠が認められなかった」として、再発防止などを命じる措置命令を出しました。

措置命令を受けたのは、いずれも東京に本社がある「イースマイル」、「スマイルコミュニケーションズ」の2社です。

消費者庁によりますと2社は、ダニ捕り用のシートやスプレーなどの商品を販売する際、「シート1枚で25万匹捕獲できる」などとうたい、パッケージや自社のウェブサイトなどで表示していたということです。


消費者庁が2社に対し根拠となる資料の提出を求めたところ、いずれの資料も「表示の裏付けとなる合理的な根拠とは認められなかった」ということです。


このため消費者庁は、実際より著しく優良だと示して顧客を不当に誘い、自主的で合理的な選択を阻害するおそれがある景品表示法の「優良誤認」にあたるとして、2社に対し、再発防止などを命じる措置命令を出しました。


また、イースマイルについては、4つの商品についてパッケージ上の不当表示が継続しているとして、表示を取りやめるよう命じました。


イースマイルは、「指摘を真摯(しんし)に受け止めて、再発防止のために全力を尽くします」、スマイルコミュニケーションズは、「指摘の点を真摯に受け止め、早急に改善をはかるとともに、再発防止に万全の対策を施します」などとそれぞれコメントしています。


参照元:NHK NEWS WEB(2025年3月14日より)

2025年3月14日、消費者庁は「イースマイル」と「スマイルコミュニケーションズ」の2社に対し、景品表示法違反(優良誤認)による措置命令を出しました。

これらの企業は、ダニ捕りシートの広告に「シート1枚で25万匹捕獲できる」と表示していましたが、消費者庁が求めた根拠資料では「合理的な根拠が認められない」と判断されました。

景品表示法違反による措置命令は、企業にとってブランドの信用や売上に大きな影響を及ぼします。

今回の事例では何が問題だったのか、そして事業者が今後注意すべきポイントは何かを詳しく解説します。

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景品表示法・措置命令の概要

景品表示法に違反する不当な表示や、過大な景品類の提供が行われている疑いがある場合、消費者庁は、関連資料の収集や事業者への事情聴取などの調査を実施します。

調査の結果、違反行為が認められた場合は、消費者庁は事業者に対し、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる「措置命令」を行います。

違反の事実が認められない場合であっても、違反のおそれのある行為がみられた場合は指導の措置が採られます。

また、事業者が不当表示をする行為をした場合、消費者庁はその他の要件を満たす限り、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じます(課徴金納付命令)。

対象商品

「さよならダニー」、「さよならダニーデラックス」、「さよならダニーアレル物質分解ミスト」、「さよならダニースプレーワンプッシュ式」、「さよならハクション」と称する5商品

景品表示法とは

景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に適切な判断ができるよう、不当な広告や表示を規制する法律です。

この法律の目的は、消費者を誤解させるような表示を防ぎ、公正な取引を確保することにあります。特に問題とされるのが、以下の2つの不当表示です。

  1. 優良誤認表示(商品やサービスを実際よりも著しく優れていると誤解させる表示)
  2. 有利誤認表示(価格や条件が実際よりも著しく有利であると誤解させる表示)

今回のケースでは、ダニ捕りシートの広告などに「シート1枚で25万匹捕獲できる」といった広告表示をし、①の優良誤認表示に該当すると判断されました。

措置命令とは

景品表示法に違反した場合、消費者庁は事業者に対し「措置命令」を出すことができます。

措置命令とは、違反行為をやめるよう命じるとともに、再発防止策を求める行政処分のことです。具体的には以下のような内容が含まれます。

  1. 問題となった表示の取りやめ
  2. 消費者への誤解を解くための対応(ウェブサイトや広告の修正など)
  3. 再発防止策の策定と実施

措置命令は、企業のブランドイメージや信用に大きな影響を与えるため、事業者にとっては非常に重要な問題となります。

違反が悪質であれば、課徴金の支払いや、場合によっては刑事罰が科されることもあります。

今回のケースは何が問題だったのか

今回、消費者庁が「イースマイル」と「スマイルコミュニケーションズ」に対して措置命令を出した最大の理由は、商品の広告表示が「優良誤認(不実証)」に該当すると判断されたためです。

では、「優良誤認(不実証)」とは何か、そして具体的にどの点が問題だったのかを詳しく解説します。

優良誤認とは

優良誤認」とは、商品やサービスを実際よりも著しく優れているように見せかけ、消費者に誤解を与える表示のことを指します。

景品表示法では以下のような場合に「優良誤認」が該当すると判断されます。

  • 表示の裏付けとなる合理的な根拠がないのに効果を誇張して宣伝する
  • 一部のデータや実験結果を都合よく、故意に偽って表示をし誤解を与える
  • 誤って表示してしまった場合だとしても、優良誤認表示に該当するような表示をする

「シート1枚で25万匹捕獲」はなぜ問題?

今回のケースでは、「シート1枚で25万匹捕獲できる」という表示が問題視されました。この表現が「優良誤認」に該当すると判断された理由は、以下の点にあります。

  1. 合理的な根拠が示されなかった
    消費者庁が2社に対して根拠資料の提出を求めたところ、提出された資料はいずれも「合理的な裏付けがあるとは認められない」ものだったとされています。つまり、科学的な実験やデータによる証明がなかったのです。
  2. 消費者に過剰な期待を抱かせる可能性
    「25万匹捕獲」「1プッシュで効果約1ケ月」という具体的な数値を示すことで、あたかも確実に大量のダニを除去できるかのような印象を与えてしまいます。しかし、ダニの生息数や環境条件によって捕獲数は変わるため、一律に「25万匹捕獲できる」「1プッシュで効果が約1ケ月もつ」と断言するのは誤解を招く表現です。
  3. 不当な比較や誇張表現の可能性
    他社のダニ捕り商品と比較した時に、特別に優れた効果があるかのような印象を与えながら、その効果を裏付けるデータがない点が問題視されました。

消費者庁の指摘内容

消費者庁は、今回の表示が「実際よりも著しく優良であると示し、消費者の合理的な選択を阻害するおそれがある」と判断し、「優良誤認」に該当すると結論づけました。

その結果、2社に対して以下の措置命令が下されました

  • 問題のある表示の取りやめ:各商品を使用するだけで効果が得られるような表示をしている行為を速やかに取りやめること。今後も同様の表示を行わないこと。
  • 再発防止策の実施:再発防止の対策を立て、一般消費者に対して周知徹底すること。今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠を有せずに同様の表示を行わないこと。
  • イースマイルの4商品についてパッケージ表示の是正指示
    (さよならダニー、さよならダニースプレーワンプッシュ式、さよならダニーアレル物質分解ミスト、さよならハクションの計4商品(さよならダニーDXを除く)について)

このように、不適切な広告表示は企業にとって大きなリスクとなります。こうした問題を防ぐために 「事業者が意識しておくべき点」 について解説します。

事業者が意識しておくべき点

景品表示法違反による措置命令は、企業の信用を大きく損なうだけでなく、売上の減少や法的リスクにも深く影響します。

そのため、事業者は広告表現において細心の注意を払う必要があります。ここでは、不当表示を防ぐために事業者が意識すべきポイントを解説します。

①表示の「合理的な根拠」を用意する

景品表示法では、商品やサービスの性能・効果を表示する場合、それを裏付ける「合理的な根拠」が求められます。

これは単なる経験則や主観的な感想ではなく、科学的なデータや実証実験の結果 である必要があります。例えば、次のようなデータがあれば「合理的な根拠」として認められやすくなります。

合理的根拠の判断基準
  • 公的機関や研究機関による実験結果:客観的に実証された内容のものであること
  • 第三者機関の検証を受けたデータ:客観性に実証された内容であることに加え、表示された結果や性能が検証データの内容と適切に対応していること
  • 実際の試験結果や数値データ:消費者の体験談やモニターの意見データを使用したい場合は、無作為抽出法で相当数のサンプルを選定し客観性を十分に確保すること

今回のケースでは、「シート1枚で25万匹捕獲できる」という表示の根拠が認められなかったため「優良誤認」と判断されました。

事業者は広告を作成する前に、効果を裏付けるデータをしっかり準備し、それが客観的に妥当なものかを確認することが重要です。

②誤解を招く表現を避ける

広告の中には、事実と異ならなくても、消費者が誤解しやすい表現が含まれている場合は注意する必要があります。特に以下のような表現には注意が必要です。

  • 確定的な表現
    ×「必ず○○できる」「100%○○になる」
    ◎「○○の効果が期待できる」「試験では○○の傾向が見られた」
  • 過剰な数値・比較
    ×「業界No.1」「他社製品の○倍の効果」(根拠が不明確な場合)
    ◎「○○の調査(○年○月)によると、市場シェア○%」(明確なデータを示す)
  • 消費者に誤った期待を持たせる表現
    ×「1日で10歳若返る」「飲むだけで痩せる」
    ◎ 「○○の研究では、○%の人に△△の変化が見られた」(明確なデータを示す)

このように、広告の表現は科学的根拠に基づいた客観的なものにし、誇張や誤解を招く言葉を避けることが大切です。

③コンプライアンス体制を整える

広告の適正化は、企業全体の意識と仕組み作りが不可欠です。事業者は、以下のような対策を講じることで、景品表示法違反のリスクを回避できます。

  • 広告の事前チェック体制を確立する
    ・広告を作成する際は、法務担当や外部専門家によるチェックを行う。
    ・社内で景品表示法に関する研修を定期的に実施し、社員の意識を高める。適正な広告チェック体制を構築する。
  • 第三者機関による審査を活用する
    ・公的な認証マークや品質試験を受けることで、表示の信頼性を向上させる。
  • 消費者からの問い合わせ対応を強化する
    ・広告表示に関する消費者の疑問に誠実に対応することで、トラブルを未然に防ぐ。

まとめ

企業の広告は、消費者の購買意欲を高める重要な要素ですが、誇張や根拠のない表示は今回の措置命令のように大きなリスクを伴います。

特に「優良誤認表示」は、企業の信用を大きく損なう可能性があるため、適正な広告表現を徹底することが大切です。

これらのポイントを意識することで、消費者に信頼される広告が実現し、企業のブランド価値の向上へと繋げられるでしょう。

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