広告における「お客様の声」の使用について
お客様からいただいたありがたい感想は、是非広告に用いたい所です。表記的に問題がありそうな部分があったとしても勝手に修正するのも気が引ける…そういった気持ちもあります。
体験談については「薬機法」及び「景品表示法」そして健康食品の場合には「健康増進法」を意識する必要があります。
体験談運用の理想
体験談運用の理想としては、以下のようになります。
- 医薬品的効能効果にあたらない体験談を使用する(特に薬機法的視点)
- 第三者による体験談を恣意的に抽出することなく、また、当該第三者の表示内容に変更を加えることなくそのまま引用する(特に景品表示法的視点)
お客様はこれらのルールをご存知なく自由に感想をお寄せくださるので、変更を加えずに使用する事が困難なことが多く、それが故に“恣意的な抽出”自体が不可能だったりするのが現状です。
そのため、まずは“薬機法に配慮”した体験談(医薬品的効能効果を含まない内容で構成された体験談)のみを用いる事が通例であり、逆にそうすれば体験談に効能効果が含まれないことになるため、虚偽誇大によるリスクも最低限に抑えられることに繋がります。
従って、景品表示法や健康増進法的にも疑義をかけられる可能性を最低限に抑えられるということになります。
丸々使用するのは避ける
以上を踏まえると、体験談についてはお客様の言葉を丸々そのまま使用すると言うことは避けるべきで、“薬機法に配慮”するためにNGの箇所は削除もしくは置き換えをしていただく必要があります。
その上で、その修正した内容をお客様にご案内いただき、修正した内容での使用許諾をいただく
ということが流れとして望ましい※ということになります。
ただし、このような使用許諾までも行っている企業様は少数かと思います。企業様のご判断によって、修正したものをそのまま使用されている場合もあれば、修正はしないものの、使える部分だけをそのまま手を加えず引用するという方法をとっている場合など様々です。それが故に“望ましい”としています。
免責事項について
次に“免責事項”について考えていきましょう。
行政はこれらの表記は有事の際に『一切免罪符にはならない』と明言しています。ですので、運用としては「使用感には個人差があります。」を書いておくことで問題回避ができるということではなく、「使用感には個人差があります。」が書かれていなくても、問題ありとの指摘をそもそも受けない内容の体験談のみで構成するということが求められている…ということになります。
書かれていようといなくとも、薬事的配慮を行っているいわゆる“大したことのない平凡な体験談”であれば問題にされることはまずない筈です。
ただ、広告上の“マナー”(商慣習)として体験談を使って行く場合には『個人の感想です』的なフレーズを付ける事が多く、また媒体社の判断として体験談を使用の際には付記が求められる
…ということもありますので、少なくとも企業が表示の決定に関与しているものについては『個人の感想です』的な表記をつけておくと良いのではないかと考えています。
注意点
注意点として例えば、
※お客様から頂いたお声より、
薬機法に基づいて一部表現を変更しております。
といったような記載の場合、勝手に修正を加えていることを示し、且つ、効能効果があるのにルールのせいで書けない(本当は効能効果がある)…という意味を含んでしまうので、表現としてはあまりおすすめできない所です。
最後に
最後にはなりますが、「化粧品」等薬機法の制限を受ける商品の場合は、医薬品等適正広告基準の中に
効能効果等又は安全性を述べる体験談の不可
というルールが存在します。
体験談は客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について
誤解を与えるおそれがあるためであり、使用可能なのは“使用感まで”となりますので、このあたりも注意する必要があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事から学んでおきたい関連知識
今日は、セミナー等で良くいただくご質問から『体験談に免責事項は通用するのか』についてお話しようと思います。
どういうことかというと、お客様からいただいた体験談やコメントをそのまま使いたい。
「※使用感には個人差があります。」
と書いておけば、何か言われた際に問題を回避できるのか。
という内容です。
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