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薬機法違反となる判断基準 「46通知」
健康食品は、「医薬品の世界に入り込む」ことをすると無承認無許可医薬品と捉えられ、薬機法に抵触します。では、その基準はどこにあるのでしょうか。
厚生省が昭和46年に通知した「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日厚生省薬務局長通知:通称「46通知」)の中で、「医薬品の範囲に関する基準」が定められています。
46通知では、「医薬品の範囲に関する基準」が定められており、製品が薬機法に制限されるか否かはこの通知に基づいて総合的に判断されます。とはいえ、この判断をするのは第三者であるため、常に薬機法は意識しておいた方が良いでしょう。
物の成分本質(原材料)からみた分類
製品の成分が「医薬品に当たるかどうか」は、その成分がどのように使われているか、毒性があるかどうか、麻酔のような作用があるかどうかを基に決められます。
医薬品に該当する成分は「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト(医薬品リスト)」に記載されています。また、医薬品でない成分は「医薬品的な効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト(非医薬品リスト)」に記載されています。
医薬品リスト・非医薬品リストは、随時改定がされるため、最新情報は東京都福祉保健局のページをご確認ください。
- 医薬品リスト:医薬品として使われる成分が載っているリストです。このリストに載っている成分は医薬品として使用されます。
- 非医薬品リスト:医薬品ではない成分が載っているリストです。このリストに載っている成分は、特に医薬品の効果を謳わなければ医薬品として扱われません。
医薬品的な効能効果の解釈
製品の容器、包装、添付書類、チラシ、パンフレット、刊行物などの広告や説明によって、以下のような効果が表示されている場合は、「医薬品的な効能効果」を謳っているとみなされます。また、製品の名称、成分、製法、起源などの説明に追いても、同様の効能効果を暗示している場合も同じく「医薬品的な効能効果」を謳っているとみなされます。
疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
これには、特定の病気を治療したりすることを目的とする効果が含まれます。
糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に、胃・十二指腸潰瘍の予防、肝障害・腎障害を治す、
ガンがよくなる、眼病の人のために、便秘がなおる 等
身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
これは、身体全体の機能を向上させることを目的とする効果を指します。ただし、栄養補給や健康維持に関する表現はこの限りではありません。
(例) 疲労回復、強精(強性)強壮、体力増強、食欲増進、老化防止、勉学能力を高める、回春、
若返り、精力をつける、新陳代謝を盛んにする、内分泌機能を盛んにする、解毒機能を高める、
心臓の働きを高める、血液を浄化する、病気に対する自然治癒能力が増す、胃腸の消化吸収を
増す、健胃整腸、病中・病後に、成長促進 等
医薬品的な効能効果の暗示
次のような方法で暗示する場合も、医薬品的な効能効果を標榜していると見なされます。
(a) 名称又はキャッチフレーズよりみて暗示するもの
延命○○、○○の精(不死源)、○○の精(不老源)、薬○○、不老長寿、百寿の精、漢方秘法、皇漢処方、和漢伝方 等
(b) 含有成分の表示及び説明よりみて暗示するもの
体質改善、健胃整腸で知られる○○○○を原料とし、これに有用成分を添加、相乗効果をもつ 等
(c) 製法の説明よりみて暗示するもの
本邦の深山高原に自生する植物○○○○を主剤に、△△△、×××等の薬草を独特の製造法(製法特許出願)によって調製したものである。 等
(d) 起源、由来等の説明よりみて暗示するもの
○○○という古い自然科学書をみると胃を開き、欝(うつ)を散じ、消化を助け、虫を殺し、
痰なども無くなるとある。
こうした経験が昔から伝えられたが故に食膳に必ず備えられたものである。 等
(e) 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより
暗示するもの
医学博士○○○○の談
「昔から赤飯に○○○をかけて食べると癌にかからぬといわれている。
………癌細胞の脂質代謝異常ひいては糖質、蛋白代謝異常と○○○が結びつきはしないかと
考えられる。」 等
医薬品的な形状の解釈
製品がどのような形状をしているかも、医薬品かどうかを判断する重要なポイントです。特に、アンプル(ガラス製の小瓶)など、普通の食品としては見かけない形状を使うことで、消費者に医薬品と誤解させる可能性がある場合は、その製品を医薬品として扱う必要があります。
- アンプル形状
ガラス製の小瓶に入っているもの。これは一般的な食品では見かけないため、消費者が医薬品だと誤解する恐れがあります。
しかし、以下のような形状の場合、「食品」であることが明示されていれば、通常は形状だけで医薬品と判断されません。
- 錠剤
食品として明示されている場合、形状のみで医薬品と判断されません。
- 丸剤
同じく、食品として明示されている場合に限り、形状だけで医薬品とは見なされません。
- カプセル
これも食品として明示されている場合には、形状のみで医薬品とは判断されません。
要するに、製品の形状が消費者に医薬品だと誤解させる可能性がある場合は、注意が必要ですが、錠剤やカプセルなど一般的な形状で「食品」と明示されている場合は、医薬品として扱われることは通常ありません。
医薬品的な用法用量の解釈
医薬品は、特定の病気に対して治療や予防の効果を発揮するため、またその安全性を確保するために、服用のタイミング、間隔、量などを詳細に決める必要があります。そのため、製品の使用方法として具体的な服用時期や量、間隔などが記載されている場合、それは医薬品的な用法用量とみなされます。
以下のような記載がある場合は、医薬品的な用法用量とみなされます。
- 1日2~3回、1回2~3粒: 一日の服用回数と一回の服用量が具体的に記載されている場合。
- 1日2個: 一日の服用量が具体的に記載されている場合。
- 毎食後、添付のサジで2杯ずつ: 食事の後に特定の量を摂取するように指示されている場合。
- 成人1日3~6錠: 大人の一日の服用量が具体的に記載されている場合。
- 食前、食後に1~2個ずつ: 食事の前後に特定の量を摂取するように指示されている場合。
- お休み前に1~2粒: 就寝前に特定の量を摂取するように指示されている場合。
要するに、製品の使用方法として、具体的な服用タイミングや量、間隔が明記されている場合、それは医薬品的な用法用量とみなされるため、注意が必要です。
自社製品は医薬品に該当しそうでしたか?この記事をご覧になられている方の中には自社製品が薬機法に制限されるのか確認されたいという方もいると思います。もしこの記事をご覧いただいても判断が難しいという場合はお気軽にご相談ください。
まとめ 医薬品とみなす判断基準
製品が医薬品と見なされるかどうかを判断する基準は以下の通りです。
- 効能効果、形状及び用法用量の如何にかかわらず、「医薬品リスト」に該当する成分本質(原材料)が配合又は含有されている場合は、原則として医薬品の範囲とする。
- 「医薬品リスト」に該当しない成分本質(原材料)が配合又は含有されている場合であって、以下の(1)から(3)に示すいずれかに該当するものにあっては、原則として医薬品とみなすものとする。
- 医薬品的な効能効果を標ぼうするもの
- アンプル形状など専ら医薬品的形状であるもの
- 用法用量が医薬品的であるもの
このように、製品が医薬品と見なされるかどうかは、成分、効能効果、形状、用法用量の各要素に基づいて総合的に判断されます。
この記事から学んでおきたい関連知識
医薬品の範囲に関する基準
①成分本質:医薬品専用の成分を指定しているか
②効能効果:身体の変化を表現しているか
③形 状:医薬品と思わしき形状であるか
④用法用量:決まった用法用量が明示されているか
以上の4点を総合的に判断して「医薬品」と「食品」を区別し、いずれかに該当する場合は医薬品とみなされる。(参考:昭和46年6月1日厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)