薬機法ガイド

健康増進法の目的とは?健康食品との関係についても解説!

健康食品を販売する際に欠かせない法律が健康増進法です。この法律は国民を健康を守るために存在し、従わない場合は罰則が科せられます。そこで、ここでは健康増進法の目的や健康食品との関係について解説します。

健康食品と薬機法のルールについてもこちらで解説しています >

健康増進法の⽬的

国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。

引用元:厚生労働省「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」

健康増進法の目的をわかりやすく解説

■健康寿命の延伸:

健康寿命とは、日常的に自立して生活できる期間のことです。この期間を延ばすことで、より多くの人が長く健康でいられるようにすることを目指しています。

■生活習慣病の予防:

食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因となる病気を予防するための対策を推進します。例えば、メタボリックシンドロームの予防や減量支援などがあります。

■国民の健康意識の向上:

国民が自分の健康について考え、積極的に健康維持・増進に取り組む意識を高めるための啓発活動を行います。健康診断や健康教育の普及も含まれます。

■健康に関する正しい情報提供:

健康食品や保健機能食品について、正しい情報を提供し、消費者が適切に利用できるようにすることを目指しています。これにより、不適切な広告や表示による消費者の誤解を防ぎます。

要するに、健康増進法の目的は、国民の健康を守り、病気の予防や健康の維持・増進を図ることです。

健康⾷品との関連

健康⾷品と健康増進法は、主に以下の内容で関わってきます。

栄養表示基準

≪第三十一条の二≫
販売に供する食品につき、栄養表示をしようとする者及び本邦において販売に供する食品であって栄養表示がされたものを輸入する者は、厚生労働大臣の定める栄養表示基準に従い、必要な表示をしなければならない。

ただし、販売に供する食品の容器包装及びこれに添付する文書以外の物に栄養表示をする場合その他政令で定める場合は、この限りでない。

引用元:閣府「関係法令等」

食品に栄養表示をする場合、その製造者や輸入者は、厚生労働大臣が定めた基準に従って必要な表示を行わなければなりません。これは消費者に対して正確な栄養情報を提供するための規定です。ただし、食品の容器包装や添付文書以外の場所に栄養表示を行う場合など、特定の条件下ではこの規定が適用されないことがあります。

虚偽・誇大な表示の禁止

≪第三十二条の二≫
何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他厚生労働省令で定める事項(以下「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

引用元:閣府「関係法令等」

誰であっても、食品を販売する際の広告や表示において、健康の保持増進効果などについて大きく事実と異なる表示や、誤解を招くような表示をしてはいけません。これは、消費者が誤った情報を元に食品を選ばないようにするための規定です。厚生労働省が定める事項についても、正確かつ誤解のない表示を行うことが求められます。

特別用途表示の許可

≪第二十六条≫
販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用その他厚生労働省令で定める特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

引用元:閣府「関係法令等」

食品を販売する際に、「乳児用」「幼児用」「妊産婦用」「病者用」など、特別な用途に適することを表示したい場合、その表示をするためには厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。

これは、特別な用途を持つ食品について消費者に正確な情報を提供し、誤解を防ぐための規定です。厚生労働省令で定めるその他の特別な用途についても同様に許可が必要です。

特定保健用食品の許可

≪第26条第1項≫の許可又は同法第29条第1項の承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる。

引用元:消費者庁

厚生労働大臣の許可(第二十六条第一項)または承認(第二十九条第一項)を受けた場合、食品について特定の健康目的で摂取することで、その健康目的が達成されることを期待できる旨の表示を行うことができます。

これは、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品が、消費者に対してその効果を正確に伝えるための規定です。許可や承認を得ることで、科学的根拠に基づいた健康効果を表示することが認められます。

健康食品を販売する際に、健康増進法は欠かせませんが、それ以外に薬機法も遵守しなけらばなりません。薬事法広告研究所では健康食品における薬機法のルールについて動画で詳しく解説していますので、よろしければこちらもご覧ください。

平成15年8月29日 薬食発第0829007号

食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン

健康増進法の一部改正の目的

食品として販売に供される物について、健康の保持増進の効果等が必ずしも実証されていないにもかかわらず、当該効果を期待させる虚偽又は誇大と思われる広告が(中略)数多く掲載され、販売の促進に用いられている。

また、これらの食品については、期待される健康の保持増進の効果等を享受するため、当該食品の長期的かつ継続的な摂取が推奨される傾向が一般に認められる。(中略)著しく事実に相違又は著しく人を誤認させる広告を信じた国民が適切な診療機会を逸してしまうおそれ等もあり、国民の健康の保護の観点から重大な支障が生じるおそれもある。

引用元:厚生労働省「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」

食品の広告には、実際には証明されていない健康効果を期待させる虚偽や誇大な内容が多く見られます。これらの広告は、販売を促進するために使われています。さらに、これらの食品は、健康効果を得るために長期間かつ継続的に摂取することが推奨されることが一般的です。

このような広告を信じてしまうと、適切な医療を受ける機会を逃してしまう可能性があります。その結果、国民の健康保護に重大な支障をきたす恐れがあります。健康食品の広告や表示には、消費者が誤解しないよう、正確な情報を提供することが重要です。

改正内容

虚偽又は誇大な広告等を行う者に対して適正な広告等を行うよう勧告し、さらに勧告に従わない者に対しては勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることとし、その命令に違反した者には罰則が科されるとすることとしたものである。

引用元:厚生労働省「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」

虚偽や誇大な広告を行う者に対して、まず適正な広告を行うよう勧告が行われます。この勧告に従わない場合、その者に対して勧告に基づく措置を取ることが命じられます。

また、この命令に違反した場合には罰則が科されることが規定されています。これは、消費者に対して正しい情報を提供し、誤解を防ぐためです。

健康増進法第32条の2の規制の適用を受ける対象者の範囲

同条の規制の適用を受ける対象者
同条の規定により誇大表示が禁止される対象者は「何人も」と規定されている。このため、今般の措置の適用を受ける者は、直ちに当該食品等の製造業者、販売業者等に限定されるものではないことに注意する必要がある。

食安基発第0829001 号 食安監発第 0829005 号  (平成15 年8 月29 日)
「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止 及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項について」 には、次のように記載されています。

1 広告依頼者の第一義的責任
広告の掲載を依頼し、販売促進その他の利益を享受することとなる当該食品製造業者又は販売業者(以下「広告依頼者」という。)が、法第32条の2の規制の適用の対象者となるのは当然である。

2 同条と広告媒体との関係
これに対し、広告依頼者から依頼を受けて、当該「広告その他の表示」を掲載する新聞、雑誌、テレビ、出版等の業務に携わる者は、依頼を受けて広告依頼者の責任により作成された「広告その他の表示」を掲載、放送等することから、直ちに同条の適用の対象者となるものではない。しかしながら、当該「広告その他の表示」の内容が虚偽誇大なものであることを予見し、又は容易に予見し得た場合等特別な事情がある場合においては、広告依頼者とともに同条の適用があり得る。

引用元:厚生労働省「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」

誇大表示の禁止に関する規制は「何人も」と規定されているため、対象者は食品の製造業者や販売業者だけでなく、広く適用されます。具体的には、広告の依頼者である食品製造業者や販売業者が、法第32条の2の規制の対象となります。

一方、広告媒体(新聞、雑誌、テレビ、出版など)の業務に携わる者は、広告依頼者からの依頼を受けて広告を掲載するため、通常は規制の対象とはなりません。

しかし、広告の内容が虚偽や誇大であることを予見できた場合や、容易に予見できた場合には、広告依頼者と共に規制の対象となることがあります。この規制は、消費者に正確な情報を提供し、誤解を防ぐためのものです。

実質的に広告と判断されるもの

  1. 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確にあること。
  2. 特定食品の商品名等が明らかにされていること。
  3. 一般人が認知できる状態であること。

現行の薬事法等における広告規制に係る現状をみると、広告等規制の対象となることを逃れるため、一部には、遺憾ながら上記1.~3.に該当することを回避した表示を行っている者があることが認められる。

しかしながら、例えば、

ア 「これは広告ではありません。」や「これは顧客を誘引することを目的としているものではありません。」、「特定商品名や商品金額の掲載はありません」、「表示しているのは物質名であって、商品名に該当しないため法に抵触しません。」といった表示をしているが、具体的な商品名及び期待される効果等を一般消費者が容易に認知できる形で記載されている

イ 商品の名称の一部を伏せ字としたり、文字をぼかす、写真や画像イメージのみを表示するなどの場合であっても、当該商品の認知度、付随している写真及び説明書き等から特定食品であることが認知できる

ウ 特定の食品又は成分の健康保持増進効果等に関する書籍や冊子、ホームページ等の形態をとっているが、その説明の付近に当該食品の販売業者の連絡先やホームページへのリンクを一般消費者が容易に認知できる形で記載している

場合には、実質的に上記の1.~3.を満たすものとして、広告等に該当するものとして取り扱うこととする。

健康保持増進効果等の表示に該当するものの例

■ 健康の保持増進の効果

  1. 疾病の治療又は予防を目的とする効果
    (例)「糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に」、「末期ガンが治る」、「虫歯にならない」、
  2. 身体の組織機能の増強、増進を主たる目的とする効果
    (例)「疲労回復」、「強精(強性)強壮」、「体力増強」、「食欲増進」、「老化防止」、「免疫機能の向上」等
  3. 特定の保健の用途に適する旨の効果
    (例)「本品はおなかの調子を整えます」、「この製品は血圧が高めの方に適する」等
  4. 栄養成分の効果
    (例)「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」等

■ 厚生労働省令で定める事項

  1. 含有する食品又は成分の量
    (例)「大豆が○○g含まれている」、「カルシウム○○mg配合」等
  2. 特定の食品又は成分を含有する旨
    (例)「プロポリス含有」、「○○抽出エキスを使用しています」等
  3. 熱量
    (例)「カロリーオフ」、「エネルギー0kcal」等
  4. 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことに資する効果

■ 間接的に健康保持増進効果等を表示する場合

  1. (1)名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
    (例)「スーパーダイエット○○(製品名)」、「○○○(製品名)。ダイエット成功者が続々」、「ガン、糖尿病、肝硬変。○○○(製品名)」等
  2. 含有成分の表示及び説明により表示するもの
    (例)「ダイエットの効果で知られる○○○○を××㎎配合」等
  3. 起源、由来等の説明により表示するもの
    (例)「○○○という古い自然科学書をみると×××は肥満を防止し、消化を助けるとある。こうした経験が昔から伝えられたが故に食膳に必ず備えられたものである。」等
  4. 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより表示するもの
    (例)○○○○(××県、△△歳)
  5. 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの
    (例)「××国政府認可○○食品」、「○○研究所推薦○○食品」等

健康増進法 第32条の2の該当性の判断基準

健康増進法において、事実に相違すること又は人を誤認させることが明らかであると判断できる表示例
  • 医療・薬事・健康増進等、国民の健康増進に関連する事務を所掌する行政機関や研究機関等による認証、推薦等を取得していることを表示していても、当該認証等の制度が実在しない場合や当該認証等の制度の趣旨とは異なる趣旨により表示することにより、健康保持増進効果等が認証等を受けたものと誤認させる場合
  • 一般消費者向けの広告等において、医師又は歯科医師の診断、治療等によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、医師又は歯科医師の診断、治療等によることなく治癒できるかのような表現を用いている場合
  • 最上級又はこれに類する表現を用いている場合
  • 断定的な表現にはよらずに、伝聞、他者の表現等を通じて健康の保持増進の効果等がある可能性を表示している場合

食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の
禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)

健康食品と薬事法
薬事法違反となる判断基準
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について

まとめ

今回は、健康増進法の目的と健康食品との関係について解説しました。

健康増進法は、国民の健康寿命を延ばし、生活習慣病の予防と健康意識の向上を図るための法律です。健康食品に関しては、栄養表示基準や虚偽・誇大な表示の禁止、特別用途表示や特定保健用食品の許可など、消費者が正しい情報を得るための規定があります。

平成15年の改正では、虚偽広告に対して適正な広告を行うよう勧告し、従わない場合には罰則が科されることが定められました。これにより、消費者保護が一層強化されています。そのため、事業者は正確な情報提供を心がけ、消費者の健康を守るための行動が大切です。

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